(令和6年3月11日更新)2024年(令和6年)診療報酬改定 クリニックへの影響は?

(令和6年3月11日更新)2024年(令和6年)診療報酬改定 クリニックへの影響は?

2024年(令和6年)診療報酬改定のクリニックへの影響は?

2月14日に2024年(令和6年)診療報酬改定の点数表が公開されました。

開業医・開業準備医師限定オンラインサロンドクターズチャートでも2月に入ってから診療報酬改定についての情報交換が非常に多く行われています。

2024年(令和6年)診療報酬改定は6年に一度の医療・介護・福祉のトリプル改定で、また新型コロナ5類移行後の初めての改定もあり注目している先生も非常に多かったのではないでしょうか?

では2024年(令和6年)診療報酬改定のクリニックへの影響はどれくらいあるのでしょうか?

結論を言うと、今回の改定は近年の改定にはないぐらいクリニックに大きな影響を与える改定と見ることができます。

もちろん全ての診療科目に等しく影響があるわけではありませんが、特に内科には非常に大きな影響(マイナス方向の影響)を与える改定内容ではないかと思います。その他では日帰り手術を多く行うクリニックや精神科への影響も大きくなっています。

このコラムの後半では具体的な改定項目についても簡単に解説していますので、そちらもぜひご覧ください。

2024年(令和6年)診療報酬改定のスケジュール

具体的な改定内容に入る前に基礎的な部分で診療報酬改定のスケジュールについても触れておきます。

2024年(令和6年)診療報酬改定で絶対に抑えておいていただきたいのは、今回改定は2024年6月1日施行ということです。

近年の医療DX推進に伴いITベンダーさんへの負担軽減を主旨として、従来の4月1日施行から2ヶ月後ろ倒しとなっていますのでご注意ください。

ここまでで中医協からは、

・2024年(令和6年)診療報酬改定の改定率 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001180717.pdf

・2024年(令和6年)診療報酬改定の基本方針 https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001177225.pdf

・具体的な改定項目と新しい診療点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001210969.pdf

・診療報酬改定の概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00012.html

が公表されています。

この後3月末ごろから新しい診療報酬についてのQ &Aである疑義解釈が数ヶ月にわたり公表されます。

※このコラムは2024年2月末に作成したものをベースに随時更新を行なっています。告示・通知(施設基準等の改定内容の詳細部分)や疑義解釈を反映したものではないことをご理解ください。

最終的な情報はそれぞれ先生方でのご確認をお願いします。
ドクターズチャートでも日々最新の改定情報についてディスカッションが行われていますので、ご興味のある先生はこちらのページをご覧ください。

2024年(令和6年)診療報酬改定 クリニック関連の方向性

それでは本題の2024年(令和6年)診療報酬改定の中身に入っていきたいと思います。

今回の改定の改定率は2023年12月20日に以下のように決定しました。

診療報酬本体 +0.88% 

  医科 +0.52%
  歯科 +0.57%
  調剤 +0.16%

薬価等 −1%

全体 −0.12%

 

医科はプラス改定のように見えますが、注釈として「うち、生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化 ▲0.25%」との記載があり、事前から特に内科にとっては厳しい内容となるのではないかと予測されていました。

個別具体的な改定項目は次の章でお伝えしますが、今回の報酬改定のポイントは大きく4つあると考えられます。

①医療DXへの取り組みの更なる推進

オンライン資格確認、マイナ保険証などここ2〜3年である意味強力に推し進められてきた医療DXですが、今回の改定ではオンライン資格確認活用に対する評価が引き下げられ、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス(紹介状や健診データなどのやり取りを電子上で行うサービス)導入・活用へのインセンティブが新設されました。義務化され一定普及が進んだオンライン資格確認から次の段階への移行を政府は求めていると考えられます。

②生活習慣病の頻回な通院の見直し

2つ目のポイントが内科を中心とした生活習慣病の診療を行う先生への影響が大きい項目です。

生活習慣病の患者さんの診療の際に算定されることの多かった「特定疾患療養管理料」が生活習慣病へは算定できなくなりました。

その代わりに「生活習慣病管理料Ⅱ」が新設されたため、今後はそちらを算定する流れになると考えられています。(生活習慣病管理料Ⅱの算定にも療養計画書が必要です。)

生活習慣病管理料は月1回のみしか算定できません。

生活習慣病の患者さんは月1回診療にされている先生が多そうではありますが、同月2回目以上の診察の際の点数は大幅に減少することになります。

③発熱外来対応への評価縮小

抗原検査の点数や発熱患者対応時の算定点数が大幅に減少しており、これまで数多くの発熱外来に対応していたクリニックには大きな影響があると考えられます。

新型コロナが5類に移行してから半年以上が経過していますので、いわゆるアフターコロナの診療体制に移行されている先生が多いと思いますが、

そうでないクリニックは改めて今後の方針を再考すべきタイミングでもあると言えます。

④日帰り手術の評価見直し

短期滞在手術等基本料1の2,718点が半減の1,359点となります。前回22年改定では短期滞在手術等基本料2が廃止となり、日帰りでできる手術は日帰りを推奨する方向性かと思いきや、今回の改定では1も半減となりました。 内視鏡でのポリープ切除の多い消化器内科や白内障手術の件数が多い眼科、鼠径ヘルニアや下肢静脈瘤の日帰り治療を専門とするクリニックなどには大変厳しい項目です。

2024年(令和6年)診療報酬改定でクリニックが抑えておくべき項目

最後に今回の診療報酬改定で抑えておくべきポイントの一部を、Xへのポストを交えて具体的にお伝えさせていただきます。

・初再診料の点数アップ、処方箋料の引き下げ

初診料が3点、再診料2点上がり、処方箋料が8点引き下げになります。

・医療DX 推進体制整備加算の新設

医療DX 推進体制整備加算8点が新設されます。

・生活習慣病管理料(Ⅱ)の新設

生活習慣病管理料(Ⅱ) 333 点が新設されます。

・特定疾患処方管理加算の見直し

特定疾患処方管理加算1(18点)が廃止、特定疾患処方管理加算2が66点から56点へ引き下げられます。

・外来・在宅ベースアップ評価料の新設

医療関係職種の賃金の改善状況に応じて算定できる加算(Ⅰの場合初診6点、再診2点)が新設されます。

以上、2024年(令和6年)診療報酬改定のクリニックへの影響についてお伝えさせていただきました。

今回の改定は今後のクリニック開業・経営において非常にインパクトの大きい改定となります。

ドクターズチャートでも日々最新の改定情報についてディスカッションが行われていますので、ご興味のある先生はこちらのページをご覧ください。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,000名超。Twitterフォロワー数18,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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