
医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
クリニック経営における社労士の重要性
今日はクリニックを経営する上で関わることになる、社労士、社会保険労務士とはどういった方々なのか、そしてなぜ契約する必要があるのか、についてお話ししていきたいと思います。
この社労士という仕事って、正直勤務医の先生方には全く馴染みのない業種だと思うんですよね。
私も開業するまでは全く知らないというか、そもそも国家資格だったことも知らなかったですよね。
でも実は結構難関資格で、開業してからはすごく大事な仕事だということを知りましたよね。
もし私が医師でなくて別のいわゆる士業、税理士とか弁護士とかありますけど、そういったものの中で何を選びたいかというと、この社労士という仕事は面白いなあと感じることがあるんですよね。
できればガッツリ多数のクリニックに入り込んで、スタッフと院長の間に入って労務のトラブルの仲介とか、人事問題に関わっていく仕事をしてみるのって大変だけどやりがいがありそう、って思いますね。
ちょっと話がそれましたけど、今回はクリニック経営において社労士さんはどういう関わり方をされているのか、そして当院ではどういうふうに仕事をお願いしているのか、後は、社労士さんと契約する一番大事な理由、最後に社労士さんを決めるポイントなどについてお話ししてみたいと思います。
今回は、すでに開業している先生には簡単なことかもしれませんので、特にこれから開業を考えている先生におききいただけるといいかもしれません。
ちなみにもちろん私はこの社労士業界に関しては素人ですので、もし間違いなどがあればご指摘いただければと思います。
社労士が担当する業務とは
まず、社労士の仕事を掘り下げる前に、開業すると、人事労務で起きる、仕事を挙げていってみたいと思います。
まずはもちろん採用募集がありますよね。
でその次に面接がありますね。
で採用を決めたとして、ここから雇用契約が始まるわけです。
でその際に、労働保険だったり、健康保険、雇用保険、後は厚生年金の加入をしないといけないですね。
すでにここまででも、今まで勤務医だったら当然こういった仕事はしてきていませんから、どうしたらいいんだろうとやや途方に暮れる感じになりますよね。
そして毎月の給料計算ですね。
これももちろん、社会保険料とか、所得税とかを引いた金額を振り込まないといけませんから、これも自分でやろうとするとかなり大変です。
そして後は、普段の業務でスタッフ同士がもめたり、院長とスタッフが揉めたりすることが出てきますよね。
これに対する対応が必要になってきます。
そして最後にスタッフが退職する時ですね。この時も加入している社会保険を脱退したり、あとは雇用保険を脱退して、雇用保険被雇用者証を返却しないといけないです。
入退職の時に渡される長細い紙ご存知な方も多いと思うんですけど、あれですね。
という感じで、開業するまでは出会ったことがなかった色々な業務が経営者になると起きてくるわけなんですよね。
そういった業務を引き受けてくれるのが、社労士、という仕事、ということになります。
でここで社労士がする仕事、できる仕事はなんなのか、を説明してみます。
で、少し調べますと具体的には、3つの仕事があるようですね。
1つ目が、人を雇用すると労働保険とか、社会保険とかに加入することになるんですが、これらの申請の仕事を経営者の代わりにやってくれる、
という仕事と、
2つ目は、労働者名簿など法定三帳簿の作成をしてくれる、という仕事、
3つ目が、労務相談などのコンサルティング、という3つですね。
そして初めの2つが社労士の資格がないとできない業務、ということになりますね。
クリニックにおける社労士の活用例
ただこういった定義を読んでも実際どんな感じでクリニックから社労士さんに仕事を依頼するのか、ということの方が大事だと思いますので、それを説明していきたいんですが、まず、冒頭で述べた人事労務のどの業務を依頼するのか、というのはクリニックによってそれぞれあると思います。
初めの採用媒体の選択とか、どんな文面の応募内容を作るのかとか、後は面接に立ち会ってくれる社労士さんもありますね。
さらにスタッフの面接を依頼しているクリニックもあると思います。
私はこの採用と面接は完全に自分でやってますので、特に今まで依頼したことはないんですけど、開業当初なんかは正直面接で何をみたらいいかもわかりませんから、初めの方は社労士に依頼してもいいかもしれませんね。
次に採用を決めて労働保険とか社会保険加入についての書類作成なんですけど、これに関しては依頼してしまった方が楽だと思っています。
こういった書類って正直非常に面倒なんですよね。もちろん自分でやろうと思えばできるんですけど、プロに任せてしまうべきだと思います。
でも院内に事務長とかがおられればそういった方がするケースもあると思います。
あとは社労士さんにお願いする業務としては給与計算を頼んでいる方もありますね。
ここは私は別のこういった業務をやってくれる会社と契約していますので、個別で社労士との契約はしていないんですけど、ここも毎月自分で計算するよりは、プロに任せるべきだと思っています。
給与計算を間違えた時に、スタッフからの信頼を失うリスクを考えると、ここもプロに任せている、と言える方が雇用の安定につながると思いますね。
後は就業規則の作成はやはり社労士の力が必要だと思いますね。
これはスタッフにとっても、キチンと国家資格である社労士と作成した、ということが信用にもなると思いますし、院長が思いつきで作ったと思われないようにしておいた方がいいと思います。
さらに助成金の申請は社労士さんの力がないとかなりやりにくいと思います。
色々な人事にまつわる助成金があって、申請するとお得なものも多いんですけど、これを自分でやるのは相当労力が入りますよね。
ここは手数料を払ってでもお願いするべき部分だと思いますね。
最後はスタッフとの個別面談とか、院長とスタッフの間に入って色々なすれ違いを仲介してもらう、という仕事を社労士に依頼している先生もありますね。
私はこういったことをほぼ自分でやってはいるんですけど、苦手な先生も多いと思いますので、得意でないと思ったらお願いしてしまうのもいいと思っています。
こんな感じで社労士さんが非常勤の事務長のような役割で契約している先生もありますね。
クリニックでの社労士契約の費用と依頼形態
でこの社労士との契約の費用なんですけど、毎月の契約の形と、スポットでお願いする形がありますよね。
毎月なら月々1万円jから5万円くらいが相場でしょうか。
私は毎月の契約はしていなくって、何か相談事がある時に、その都度スポットで依頼している感じですね。
クリニックが社労士と契約するメリット
次に、社労士さんに仕事を頼むべき理由なんですけど、これは2つありますね。
1つ目は、院長が自分でこういった仕事をやる時間をお金で買う、ということだと思います。
自分で勉強すればすべてできなくはないと思うんですけど、これに院長が時間を取られるのは非常にもったいないと思いますね。
その時間を診療とか、患者さんを増やすこととか、院長にしかできない仕事に費やした方が絶対いいと思います。
後もう一つの意味はスタッフの雇用の安心感を得るため、ですね。
スタッフにとっては院長が人事労務に関しては素人であることは分かっているわけですから、バックに労務の専門家がいるよ、ということを見せるだけで働く職場としての安心感になりますよね。
私も特に開業当初は、スタッフに「雇用保険のことなんですけど、」とか色々質問されて、よく分かってなくてオロオロしたことがあるんですけど、それを、専門の方に聞いておきますね、と言えるだけでもスタッフは安心すると思いますよね。
それを院長がググってるだけでは、スタッフとしてはここで働いていていいのかな、という不信感につながるかもしれません。
クリニックでの社労士選びのポイント
最後に、どうやって探すのかということなんですけど、これは結局知り合いの紹介、というケースがほとんどだと思いますね。
私は保険の営業マンに紹介してもらいました。
でその時の選ぶポイントとしては、やはりクリニック労務の経験があるかどうかに尽きると思います。
クリニックって、クリニック独特の問題があったりするんですよね。
院内に医師がいたり、看護師がいたり、無資格の事務スタッフがいたり、同じ職場に色々な立場の人が混在しているんですよね。
なのでそれ特有の難しさがありますから、やはりこういったところと仕事をした経験があるかどうかは非常に大事ですね。
後はもちろん会って話した時の相性も重要だと思いますね。
以上、今回はクリニックと社労士について、お話ししてみました。
いかがだったでしょうか。
弁護士とか税理士とか、士業と言われる仕事っていくつかあるんですけど、その中で社労士ってあまり認知度が高くないですよね。
でも実際は、ものすごくニーズもあってすごく社会的意義がって、面白い仕事ですよね。
個人的にはもっと知られていい仕事なんじゃないかなあと思っています。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,700名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。