短期滞在手術等基本料1 2024年度(令和6年度)診療報酬改定での改定ポイント

短期滞在手術等基本料1 2024年度(令和6年度)診療報酬改定での改定ポイント

このコラムでは2024年度(令和6年度)診療報酬改定での短期滞在手術等基本料1の変更点について解説していますのでご参考ください。

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短期滞在手術等基本料1 2024年度(令和6年度)改定での変更点

短期滞在手術等基本料1は、改定前は「イ 麻酔を伴う手術を行った場合」と「ロ イ以外の場合」の2つの分類でしたが、

改定後はまず「イ 主として入院で実施されている手術を行った場合」と「ロ イ以外の場合」に対象手術が分類されることとなります。

その上で「イ」「ロ」それぞれで麻酔を伴う場合とそうでない場合に別れることとなります。

イ 麻酔を伴う手術を行った場合 2,947点 

ロ イ以外の場合 2,718点

イ 主として入院で実施されている手術を行った場合

 (1) 麻酔を伴う手術を行った場合 2,947点

 (2) (1)以外の場合 2,718点

ロ イ以外の場合

 (1) 麻酔を伴う手術を行った場合 1,588点

 (2) (1)以外の場合 1,359点

改定後の「イ」「ロ」の対象となる手術は以下の通りで、皮膚科や眼科、消化器内科クリニックで算定される手術の多くについては「ロ イ以外の場合」となるため、クリニックにおける短期滞在手術等基本料1はほぼ半減することになります。

「イ」主として入院で実施されている手術を行った場合の対象手術等

D287 内分泌負荷試験 1 下垂体前葉負荷試験 イ 成長ホルモン(GH) (一連として)
D291―2 小児食物アレルギー負荷検査
K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 4 長径十二センチメートル以上 (六歳未満に限る。)
K030 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 2 手、足(手に限る。)
K048 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 4 鎖骨、膝蓋骨、手、足、指(手、足)その他(手に限る。)
K068 半月板切除術
K068―2 関節鏡下半月板切除術
K282 水晶体再建術 1 眼内レンズを挿入する場合 イ 縫着レンズを挿入するもの
K282 水晶体再建術 2 眼内レンズを挿入しない場合
K282 水晶体再建術 3 計画的後嚢切開を伴う場合
K474 乳腺腫瘍摘出術 1 長径5センチメートル未満
K474 乳腺腫瘍摘出術 2 長径5センチメートル以上
K508 気管支狭窄拡張術(気管支鏡によるもの)
K510 気管支腫瘍摘出術(気管支鏡又は気管支ファイバースコープによるもの) K617 下肢静脈瘤手術 1 抜去切除術
K653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 1 早期悪性腫瘍粘膜切除術
K834―3 顕微鏡下精索静脈瘤手術
K841-2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 1 ホルミウムレーザー又は倍周波数レーザーを用いるもの
K841-2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 2 ツリウムレーザーを用いるもの
K841-2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 3 その他のもの

「ロ」イ以外の場合の対象手術等

K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 3 長径四センチメートル以上(六歳未満に限る。)
K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 3 長径六センチメートル以上十二センチメートル未満(六歳未満に限る。)
K008 腋臭症手術
K070 ガングリオン摘出術 1 手、足、指(手、足)(手に限る。) K093 手根管開放手術
K093―2 関節鏡下手根管開放手術
K202 涙管チューブ挿入術 1 涙道内視鏡を用いるもの
K217 眼瞼内反症手術 2 皮膚切開法
K219 眼瞼下垂症手術 1 眼瞼挙筋前転法
K219 眼瞼下垂症手術 3 その他のもの
K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの)
K254 治療的角膜切除術 1 エキシマレーザーによるもの(角膜ジストロフィー又は帯状角膜変性に係るものに限る。)
K268 緑内障手術 6 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術
K282 水晶体再建術 1 眼内レンズを挿入する場合 ロ その他のもの K616―4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 1 初回
K616―4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 2 1の実施後3月以内に実施する場合
K617 下肢静脈瘤手術 2 硬化療法(一連として)
K617 下肢静脈瘤手術 3 高位結紮術
K617―4 下肢静脈瘤血管内焼灼術
K617―6 下肢静脈瘤血管内塞栓術
K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 1 長径二センチメートル未満
K743 痔核手術(脱肛を含む。) 2 硬化療法(四段階注射法によるもの)
K747 肛門良性腫瘍、肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術(肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術に限る。)
K823―6 尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの)

短期滞在手術等基本料1の主な算定要件・施設基準

短期滞在手術等基本料1の算定には事前の届出が必要です。また以下の要件を満たす必要があります。

・手術室を使用していること。内視鏡を使用した手術の場合は内視鏡室でも可能です。

・術前に十分な説明を行った上で別紙様式8(短期滞在手術等同意書)を参考にした様式の同意書にて同意を得ること。

・術後の十分なフォローアップ(手術翌日の状態の確認等)を行うこと

・手術後概ね3日間は1時間以内で来院可能な距離に患者がいること

・手術後の患者の回復のための回復室が確保されていること

・患者4人に1人の割合の看護師が回復室に常時勤務していること

・全身麻酔を伴う短期滞在手術等基本料に係る手術が行われる日は麻酔科医が勤務していること

短期滞在手術等基本料1に包括される点数

下記の検査等の項目は短期滞在手術等基本料1に包括されます。

・尿中一般物質定性半定量検査
・血液形態・機能検査の一部(末梢血一般検査等)
・出血・凝固検査の一部(出血時間等)
・血液化学検査の一部(総ビリルビン等)
・感染症免疫学的検査の一部(梅毒血清反応等)
・肝炎ウイルス関連検査の一部(HBs抗原等)
・血漿蛋白免疫学的検査の一部(C反応性蛋白等)
・心電図検査
・写真診断
・撮影
・麻酔管理料(Ⅰ)
・麻酔管理料(Ⅱ)

短期滞在手術等基本料1の改定によって、日帰り手術を専門とするクリニックや内視鏡検査とそれに伴うポリープ切除を中心に行う消化器内科などのクリニックは一定の減収は避けられない状況と言えるでしょう。

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