クリニックの税理士を選ぶポイント

クリニックの税理士を選ぶポイント

医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。

勤務医の時にはあまり意識しないのに、開業すると一気に考えないといけなくなることに税金のことがあるんですよね。

勤務医はある意味サラリーマンですから、考えなくても勝手に給料から税金が天引きされていてある意味楽ですけど、知らない間に取るものは取られているという仕組みなんですよね。

でも開業すると、個人事業主ということになりますから、自分で収入や支出を計算して、確定申告をしないといけないということになります。

でも当たり前ですが、こういったことは初めての人がほとんどでしょうから、突然自分でお金を管理して提出しなさいと言われて面食らう、という先生がほとんどだと思います。

そこで、一人でこれをやりきることはできないので、税理士さんに契約することになるんですね。

しかしこれも当然税理士さんとん繋がりなんか、実家が事業をやっている、とかでなければ繋がりなどありませんから、どうやって税理士さんを見つけるのかわからなくて困るということがあるんですよね。

そこでクリニック開業において、税理士さんをどのように決めるのかについて考えていきたいと思います。

クリニックの税理士を選ぶポイント「クリニックの顧問先が多数あるか?」

税理士さんをどうやって決めるのか。

まず1つ目のポイントは、クリニックを顧問先に多数持っている、ということですね。

クリニックの税務って、税理士さんにとってどちらかといえば難しくないと思われていると思うんです。

というのは、収入がほとんど保険の診療報酬ですし、一旦黒字になったらそれほど大きく業績は変わりませんから、処理は簡単だと思うんですよね。

他の業種で、子会社があったり、不動産を多数持っていたり、黒字と赤字をシーソーのように動く事業だったりすると、非常に手間がかかるだろうと思うんですよね。

それに比べるとクリニックはわかりやすいと思います。

なので、クリニックってほぼ倒産しないですから、確実に顧問料を取れるという読みもあり、

クリニックの税務の経験がなくても顧問先として契約を結べそうになったら顧問先になりたいとおもう税理士さんはおられると思います。

よくあるのは、開業する医師の実家が医療以外の自営業をやっていて、付き合いがあるので息子のクリニック開業の税務も頼んでしまう、というようなことですね。

クリニックの税務の特殊性とは?

しかし、クリニック経営は計算は簡単でも、普通とは違う特殊性があるんですよね。

例えば5000万円以下は特措法といって特別な税の仕組みもありますし、保険診療、自費診療をどのように管理するのか?税務調査に入られた時にどこを税務署から見られるのか?

こういったことは経験がないと難しいと思いますね。

さらに最も大事なことは、医療法人化すべきかどうかの判断ですよね。

これは我々が以前サロン内で議論したことがあるのですが、なかなか何が正解か?というのは難しいというのが結論なんですよね。

実際法人化するかどうかは、もちろん売り上げもですし、今後のクリニックをどうしていきたいかという院長の考え方、さらに節税などのスキームをどのように使えるのか、という時代の変化などいろいろ考えた上で決定しないといけないですから、やはり経験がないと難しいと思います。

税理士さんによっては、法人化を積極的に勧めるタイプの人と、面倒なので出来るだけしないように話を進める人がいますね。

これはどっちも正解ではなくて、そのクリニックの置かれている状況で色々な側面から検討しないといけないことだと思います。 ということで、クリニック経験があることはマストだと思っています。

クリニックの税理士を選ぶポイント「自分と世代の近い税理士の方がいい」

あとは、世代は近い方がいい、というポイントもあると思います。

もちろん世代が違っても、話が合えば問題ないわけなんですが、とにかく院長が思っていることをきちんと理解してくれる人でないとだめですね。

たまに聞くのが、院長の方が若くて、これは事業に関係するから経費にできると思うと言っても、年配税理士さんは面倒なことが増えるのが嫌なので調べることなく「これは無理ですよ」とすぐ言ってしまう、という話がありますね。

クリニックの親子継承なんかでも、税理士さんは前院長からの付き合いなのでかなり高齢になっていて、

息子が引き継ぐ時には世代が違いすぎて信頼関係が築けない、ということはよくありますね。

しかし時代はどんどん変わっていっていますから、以前の常識に囚われずにきちんと経費として処理できることは積極的に協力してくれる人がいいと思います。

クリニックの税理士を選ぶポイント「税務以外の業務はどこまでお願いできるのか?」

あとは、税務以外のことをどこまで依頼するのか、というポイントも重要ですね。

税理士事務所が労務のことも全て引き受けてくれるパターンもありますし、普段の経営の悩みを相談できる相手になってくれることもありますね。

労務は手伝いませんという所なら、別で労務管理はしないといけませんよね。

特に開業当初は税理士さんとどうやったら業績を上げられるのかということを相談することって多いと思うんですけど、そういうことに慣れている人の方がいいでしょうね。

人によってはコンサルティングみたいなことも一緒にやってくれる人もいると思いますから、

どこまでやってくれるのかの確認は重要ですね。

あとは、税務署OBか、資格税理士か、という話もありますが、これはどちらでもいいと思いますね。

正直税務署OBであることがメリットになることって税務調査の時だけなんですが、クリニックの税務調査ってそれほど大きく見解が分かれることってないと思いますから、それより普段の処理をきちんとしてくれるのかの方が重要ですよね。

そもそも以前よりこの税務署OBであるという威光はなくなってきているという話も聞きますが、ここはどうなんでしょうね?

機会があれば税理士さんに聞いてみたいです。

どうやって理想とする税理士と出会うのか?

最後に、どうやってこういった税理士さんと出会うのか?ということですが、これは複数の税理士さんと話をしてみるしかないでしょうね。

そして今の時点では、知り合いの紹介をたどっていくしかいい人と出会えないというのが結論ですね。

私たちのサロンでこういった税理士さんとのマッチングの仕組みを作りたいと思ってはいますが、今はまだ信頼できる税理士さんと知り合う方法は基本的には先輩医師の紹介、という形しかないように思いますね。

開業コンサルタントからの紹介というパターンもあるでしょうが、これって本当にクリニックの為になる人を紹介してもらえているのか?

コンサルタントにキックバックがあるから紹介しているのかわからない、ということもあると思いますから、この辺りの見極めは重要ですね。

開業前に複数の税理士さんと話をしてみることは中々難しいかもしれませんが、開業前、特に銀行融資の実行前に、融資のことに相談に乗ってくれる税理士さんを見つけておくことが大事だと思いますね。

ですので開業を志したら、まずは税理士さん探しも早めにしておく、ということですね。

最も、合わなければ途中で顧問を変えるということももちろん可能ですから、相性が悪いのに我慢して付き合う必要もないと思います。

とにかく、複数の税理士さんと会ってみて、信頼できそうか、相性が合いそうか、みられた方がいいと思います。

いかがだったでしょうか。

開業するというのは経営者になることですから、財務の全てを税理士さんに丸投げにせず、院長は最低限の勉強はしておかないといけないとは思います。

ただ、ここを安心して任せられる人と出会えれば、クリニック経営において非常に力になってくれます。私は非常に助けられていますね。

この記事が先生のお役に立つことができれば幸いです。

※この記事はVoicyでの音声配信の内容をもとに、一部再編集してアップしています。

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記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,400名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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