院内でのスタッフ間の情報共有のコツ

院内でのスタッフ間の情報共有のコツ

医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。

今回はクリニックでのスタッフの診療時間中の情報交換・情報共有はどうすべきかについて話してみたいと思います。

診療中の院内オペレーションはどうするべきか?ということですね。

院内での情報共有が大事な理由

どうしてこういったテーマが必要かというと、クリニック特有の課題があると私は思っているからなんです。それはどういうことかという4つの点を挙げます。

①情報共有がきちんとなされていないと、患者の不信につながったり待ち時間が長くなったりするので満足度に直結する

②クリニックは病院より医療未経験スタッフが就職することが多い

③クリニックは限られたスペースやリソースで、情報共有する必要がある。

④クリニックは責任者である医師が診療中のため、問題があっても医師にすぐ確認することが困難な状況が多い。

そこで、どのようにこのスタッフ間の診療中の情報共有・情報交換をするのがスムーズなのかについて考えてみたいと思います。

院内情報共有の5つのポイント

この診療時間中のスタッフ間の情報共有について、5つのポイントを挙げてみたいと思います。

① 内装設計から始まっている

1つめ、内装設計から重要という事ですね。

これはどういうことかと言いますと、受付と診察室をできるだけ近くに設計するべきだと私は思っているんです。

クリニックで急いで情報をやり取りするのは、受付と診察室の間で行われることが多いわけです。

ここが遠いクリニックを時々見ますが、スタッフの移動距離が多くなりますし、場合によってはスタッフを1人多く雇わないといけなくなります。

② 医療未経験スタッフが対応しやすい仕組みづくり

2つめ、医療未経験スタッフが対応しやすい仕組みづくり、ですね。

医療の経験があるスタッフばかりだと話が早いんですが、医療未経験スタッフが多いクリニックもあると思います。

これに関しては指導係を一人一人につけて、成長まで時間をかけるつもりで医院側が腹を括る、ということが大事だと思います。

とにかく教育を急がないことですね。

③ クラーク(シュライバー)を育てる

3つめ、医師の横について書記をするクラーク、シュライバーとも言いますが、この業務をこなせるスタッフを作るということですね。

これが実はもっとも大事かもしれません。

医師の診療を見てカルテの書記をするという役割も非常に大事ですが、情報がここに集まって他のスタッフに指示を出す、いわば野球で言うとキャッチャーのような役割をこの場所のスタッフがする、というのが理想だと私は思ってるんですね。

医師は例えると監督でピッチャーですから、その医師の診療を上手に操って他のスタッフの動きや患者さんの動きを見て指示を出す、ということができれば非常にうまくいきますね。

インカムをつけているクリニックもあるようですが、うちはつけていないです。

私が片耳が塞がっているのが慣れなくてやめていますがうまく使っておられるクリニックもあるようです。

④ 診療中に医師に連絡を取れる方法を確立する

4つ目、診療中に医師に連絡を取れる方法を確立する、ということが大事ですね。

クリニックの受付には、薬局からの電話などがよくくるんです。

「先ほどの処方について別の病院の薬と被っているんですが、、」というような電話ですね。

それをスタッフが医師に確認してその結果を薬局に電話して伝えないといけないのですが、医師の診察が続いているとなかなかその確認ができない、ということがあります。

そうすると患者さんも薬局で足止めされていますし、受付スタッフも薬局に伝えられないし、ということで全てが止まってしまうことってよくあるんです。

そういう時に受付からの情報をそのキャッチャーの位置のスタッフが受け取るようにしておいて、そのスタッフがいいタイミングで医師に情報を伝える、というのが大事です。

例えば診察中に医師が確認できる札を用意してすぐ指示を出せるような仕組みを作ると、そういった薬局からの問い合わせにも素早く対応できると思います。

この辺りはこのキャッチャーとの信頼関係が重要になってきますね。

⑤ スタッフが診療の説明や問診などに診療に関わるようにする

5つ目、スタッフが診療の説明や問診を取るなど積極的に診療に関わるようにしていく、ということですね。

問診などは受付でほとんど取っておいてもらい、医師は診察室ではその確認だけで済むようにできるのが理想です。

さらに診察室で医師がし切れない説明などは診察後にスタッフが追加で説明する、ということも重要です。

もちろん診断や治療を決定するのは医師がしないといけないんですが、それ以外の医師以外の人でも問題なくできる説明の部分はどんどんスタッフがやっていくべきだと思っています。

そのことでスタッフも診療に関わっているという自覚ができて、それがやりがいにつながるということもあると思います。

上記のことがうまく運びますと医師は診察時に問診を少し確認するだけで済みますし、カルテの入力や場合によっては処方もPCに入力することなく、画面を確認して間違いなければ登録するだけ、という形になれるのが理想だと思います。

最後に大事なことを一言でまとめますと、

「院長がしなくても可能な仕事は極力スタッフができるように仕組みを作る」

ということです。

ただ責任を丸投げするのではなく、何か会った時には院長が責任者としてすぐ関われるようにしておくことも重要だと思っています。

いかがだったでしょうか。

偉そうに私もお話ししましたがまだまだできていないことも多くて、試行錯誤を繰り返しているところではありますね。

ただ院内オペレーションという、一見地味で細かい話だったんですが、実はこれがクリニック運営に対しては一番重要で、患者満足度の上昇につながると私は思っています。

この記事が先生のお役に立つことができれば幸いです。

※この記事はVoicyでの音声配信の内容をもとに、一部再編集してアップしています。

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記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,000名超。Twitterフォロワー数18,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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