なぜクリニックのスタッフは辞める?(前編)

なぜクリニックのスタッフは辞める?(前編)

医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。

今回はクリニックのスタッフの離職率について考えていきたいと思います。

まず一般的にクリニックって職員がわりとすぐ辞めたりして、職員の回転が早い職場だと言われているんですね。

その中で少し手前味噌の話なんですが、私のクリニックは開業して10数年たつんですが、開業時のスタッフが今も3人勤務していてほかにも10年前後のスタッフも4、5人います。

逆に入って1、2年、と言う人も数人と言う感じですね。

ですので、働き出すとまあまあ長く勤めてくれる職場だと思うんですよね。

そこでこの離職率がなぜ低いのか、ということをテーマにしたいと思います。

今回は、

・まずそもそも離職率を下げる必要性はあるのか。

・そして離職率を下げるポイントを7つ、

・最後に私が先輩開業医に言われてものすごく響いた言葉、

という順にお話ししたいと思います。

このテーマはは長くなりそうなので、2回に分けてお送りしたいと思います。

そもそも「離職率は低い方がいい」は本当か?

まずそもそも離職率が低い方がいいのかどうか、ここから考えてみたいと思います。

何事も、まずは常識とされている前提を疑う、ということは大事だと私は思っていますので、離職率が高い方がいいということはないか考えてみましょう。

離職率が高い、すなわち職員が回転が早いと給料を上げていく必要がありませんから、トータルの人件費は上がらなくていいという考え方もできると思います。

しかも職員はいつも若い人ばかりでクリニックの活気も良さそうですよね。

実際過去に私が勤務医の時に働いていた病院でそういう病院がありました。

確かに人件費は低いで有名な病院で、職員が皆若くて活気はあるのですが、診療や接遇の質はどうしても低くなりますよね。

業務も引き継がれていないことも多いですから、非常に効率も悪かったです。

で、クリニックに話を戻しまして、逆に離職率が低いとどういういいことが起きるんでしょうか。

まず職員採用の回数が減りますね。

職員採用って費用が非常にかかるんです。

媒体に掲載すると1回で大体2週間掲載されるんですが、10万とか20万くらいかかるのはザラです。

そしていつもいい人が来るとも限りませんから、長期にわたって費用が発生することも多いです。

そして新人が継続的に来ることになると当然業務は非効率になりますよね。

さらに、あそこはいつも募集しているという地域の患者からの信用の低下、というデメリットもあります。

確かに人件費は上がりますが度々募集をかける費用を考えると、結局トータルでは安く上がるのでないかと思っています。

そして当然、業務がスムーズになります。

私が1から10まで言わなくても理解してくれるようになりますし、なんなら何も言わなくても仕事をやっておいてくれることもありますね。

これは本当に大きいですね。

もちろん患者さんにとっても、同じスタッフが長くいるということは安心感につながることは間違いないと思います。

ただ、全員が長くなるとマンネリ化してくることがありますから、定期的に新しいスタッフが入るということで緊張感が保たれるのが理想だと思います。

とにかく離職率を下げること、職員が長く居たいと思う職場作りは重要、ということを肝に命じてもらうのがいいと思います。

離職率を低くするためのポイントは?

さて、つぎに、離職率を低くするポイントを挙げていきたいと思います。

7つあって、長くなりそうなので、今日はそのうちの非常に大事な初めの1つ目を挙げていきますね。

スタッフとはまめなコミュニケーションを

一つ目はスタッフとコミュニケーションをマメにとる、ということですね。

当たり前かと思われることかもしれませんが、中々難しいことなので私のクリニックでの例を挙げて説明してみたいと思います。

コミュニケーションをマメにとるというのは、飲みにいくとかプライベートでも付き合うと言う話ではないんですね。

例えばきちんと出勤した時と帰る時に挨拶するとか、職場で何気ない会話をする、とかそういうことでもいいと思います。

そして、いつもと違う感じのスタッフがいたらそれとなく聞く、ということを私はしていますね。

あとは3ヶ月に1回、スタッフ全員と個人面談をしていますね。

何度もTwitterやブログなどで話をしてるんですがこの面談のおかげで大量退職を防げて、今もずっと働いてくれているスタッフもいます。

この時の面談のポイントなんですが、院長がダメ出しを言う場所ではなくスタッフが思うことを何でも告げる場所にしないと意味がないです。またこの面談で話したことがスタッフの問題の何らかの解決に至る、という場所にならないといけません。

さらにその上で距離感も非常に重要だと思います。近すぎず、でもほったらかしにせず、ということですね。

これは人によっても距離感は違いますから、開業してから色々やってみて学ぶしかないと思います。

スタッフとのコミュニケーション 私の失敗例

私の例なんですが、開業当初から働いてくれているスタッフがいまして、非常に信頼していたんですね。

ある時他のスタッフ同士の問題が起きて、私はそちらにかなり労力を割く状況になったですね。

その時はその信頼しているスタッフには全幅の信頼を置いていましたから、その間の私ができない仕事を一手に引き受けてくれて非常に助かっていたんですね。

ただ、こっちの意図をすごく読めすぎていて、細かい話はできていなかったのは事実なんですよね。

私が安心しきっていた、ということなんです。

そういう状況で数ヶ月経ったある日、そのスタッフは私のところに「先生、ちょっといいですか」と言いに来たんですよね。この先生、いいですか、は開業医にとっては本当ににドキっとする言葉なんですよ。

このことばを言われると焦るというのは、開業医はみなさんわかってもらえると思います。

そのスタッフの二言目は「ちょっと仕事を続けていけるかわからなくなってきました」というようなことだったんですよね。私はあせりましたよね。

他のスタッフのことであたふたしている状況の上に、そのスタッフまで辞めてしまうと本当に大変になりますよね。

でじっくり話を聞いてなんとか退職は踏みとどまってもらった、ということがありましたね。

スタッフを信頼して安心しきっているとダメで、やはり常に声をかけていくことって大事なんだなあと痛感しましたね。

でもこれって職場のみならず家族でも友人でも、結局人間関係という意味では一緒な気がしますね。

続きはまた次回の記事をお待ちいただければと思います。

この記事が先生のお役に立つことができれば幸いです。

※この記事はVoicyでの音声配信の内容をもとに、一部再編集してアップしています。

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記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,000名超。Twitterフォロワー数18,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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