医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
さて今回はこちらの続きで、離職率を下げるにはというテーマのお話の後編ですね。
前回はなぜ離職率を下げる必要があるのか、そして離職率を下げるポイント7つのうち、1つだけお話ししました。
その2つ目から、今回はお話ししていきますね。
そして最後に私の尊敬する先生のすごく響いた言葉についてお話ししたいと思います。
クリニックスタッフが辞めないポイント②「院長の考えがブレていない」
早速本題に入りまして、離職率を下げるポイント2つ目です。
これは院長の考えがブレていない、ということですね。
もちろん今の時代臨機応変に変えていかないといけないシステムなどはありますが、ブレないのはもっと根本の部分ですね。
クリニックとしてどういう考えでやっていくのか?ということですね。
例えば診療時間少しすぎた時に来る患者さんがいたとして、開業当初は一人でもきてくれると嬉しい!と喜んで診察を受けたとしても、クリニックがはやってくるとそういう人を断ってしまう様になるということはあると思います。
しかしこういったことはスタッフはよく見ているんですよね。
もちろん診療時間外の人を見る義務はないかもしれませんし、診察できない状況のこともあるとは思いますが、もし見ないとしても以前は見たのに今はなぜ見ないのか?それが明確にスタッフに伝わっておくべきだと思うんですね。
細かいことですがこういうことの積み重ねなんだろうと思いますね。
よく社是というか、行動指針やクレドのようなものを作りましょうというコンサルタントがいたりしますが、10人以下で院長がいつも現場にいる規模のクリニックでは、院長が正しい姿勢をいつも見せていたら特に必要ないと思いますね。
むしろ作ってみたものの活用されず形だけになっている、ということもよくあると思います。
ただ、10人を超える組織だったり、院長など責任者がいつも現場にいない状況ならこういったものに頼ることも悪くない気がします。
クリニックスタッフが辞めないポイント③「待遇について」
3つめは待遇についてです。
賃金、休暇を増やし時間外労働を減らすということはもちろんあればよりいいとは思いますが、
案外それだけで人は喜ばないということはあると思いますね。
いくら給料が高くて休みが多くても、仕事に行くのが非常に億劫で居心地が悪ければやはりやめていくことになると思います。
逆に忙しくてもやりがい持ってやっているとやめずに頑張るということもあると思いますね。
ただ、これらの待遇をきちんと常に改善する意思が院長にある、ということが伝わっていることは大事だと思います。
そして利益が出た時はスタッフに還元する、ということを常に言っておくことも重要だと思いますね。
クリニックスタッフが辞めないポイント④「居心地」
4つめは先ほど少し触れましたが、居心地です。
多くは女性ばかりの職場ですから、お互いを蹴落とし合う雰囲気より和を大事にする雰囲気づくりが重要だと思います。
その一つの方法として、スタッフの世代を分けるということは重要だと思っています。例えば40代が2人、30代が2人、20代が2人などのようにバランスが偏らない方がいいですね。
それは結局派閥をできるだけ作らないようにするという意味にもなります。
例えば当院の例で言いますと、昼の休憩時間は皆一旦家に帰って夕方にまた集まってくるという形にしているんですが、これが派閥を作りにくい理由の一つになっていると思っているんですね。
休憩時間の数時間やることがなくてダラダラだべっていると、そこで飛び交う会話はやはりグチが多いと思うんですよね。
それでストレス発散になっていることもあるかもしれませんが、不満の述べ合いから派閥ができてくる、ということもあると思いますね。
クリニックスタッフが辞めないポイント⑤「既存スタッフとの相性」
採用時から他のスタッフと合いそうかどうかで決める、ということは大事ですね。
例えば仕事が突出してできるけど完璧すぎて馴染まなそうな人と、少しおっとりしているけど今いるスタッフとうまくやりそうな人、の2択なら、
男性院長はつい仕事ができる前者の人を選びがちだと思いますが、多くの場合後者のおっとりした人を入れたほうが上手くいきますね。 仕事の特性上、突出した個性がある人は避けた方がいいと思っています。
クリニックスタッフが辞めないポイント⑥「院長の背中」
6つ目は結局院長が背中を見せるのが大事、ということですね。
私の先輩の話なんですけど、ある時診療時間中にネットサーフィンをしているスタッフがいて、その先生が注意をしたんですよね。
すると、「先生だって車の雑誌をいつも読んでるじゃないですか」と言われたそうなんです。
その先生にすると、「俺が自分のクリニックで自分の読みたい本を読むのが何が悪いんだ!」と思ったようなんですが、もちろんその先生の気持ちは非常によくわかります。
ただ、スタッフにするとそうは思わないわけなんですよね。
院長だけでなく、スタッフ皆のクリニックでもあるという意識って大事ですね。
クリニックスタッフが辞めないポイント⑦「スタッフに手を出さない」
最後7つ目はかなり番外編なんですが、スタッフには手を出さない、ということですね。
スタッフと男女関係になってしまう院長というのをたまに聞きますが、大概徐々にクリニックは崩壊してきますね。
勤務医の時に同僚のスタッフに手を出してしまう、ということとは全く意味が違うんですよね。
経営者が従業員に手を出してしまうと、やはり全体に与える影響は非常に大きいです。
私の周りの流行っている先生で勤務医時代は遊び人で有名だった先生も、ご自身の開業したクリニックでは非常に品行方正のようで、その辺りは非常によく考えておられるなと思いますね。
むしろ勤務医時代にあまり遊んだりしてきていない人の方が、つい自分のクリニックで暴れてしまうということがあったりするのかもしれません。
とにかく、遊ぶのが好きな先生は中で弾けずに、外で暴れることをお勧めします。
最後にポイントを振り返っておきます。
1 スタッフとコミュニケーションをマメにとる
2院長がぶれていない
3待遇は大事だがメインではない
4やりがいよりも居心地
5採用から考えておく
6院長の振る舞いが大事
7番外編スタッフに手を出さない
私の尊敬する開業医の先輩の回答
最後に、私が尊敬する開業医の先輩の先生がおられるんですが、以前その先生にスタッフがなぜ辞めないのか質問したことがあったんですね。
その先生のクリニックは本当にスタッフが生き生きと働いておられて、一度採用されたら皆長く続けられているみたいなんですよね。
そこで、そのスタッフが長続きするポイントをその先生にきいてみたんです。
するとその先生は、少し考えてからこう答えられました。
「うちで働くということが世間でステータスになるというくらい、地域で一番信頼されている有名クリニックになるということだろう」と言われたんですね。
感心して声が出ませんでしたね。
そして、そこを目指したいと強く思いましたね。
クリニックの価値を高めて誰からも信頼されるクリニックになる、それが結局職員が働きたいという場所になるための王道、ということなのかもしれません。
この記事が先生のお役に立つことができれば幸いです。
※この記事はVoicyでの音声配信の内容をもとに、一部再編集してアップしています。
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