
医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
電子カルテの種類: オンプレミス型とクラウド型とは?
今日も開業医オンラインサロン内で出たご質問にお答えしたいと思います。
そのご質問は、私が今電子カルテを買うとすると、オンプレ型か、クラウド型、どちらを選びますか?というご質問ですね。
さて、ご存知ない方にご説明しますと、電子カルテには今2種類のものがあるんですね。
それがこのオンプレミス型とクラウド型ですね。
それぞれをご説明しますと、オンプレミス型というのが、以前から一般的に普及している電子カルテのことなんですが、院内のみに大体は有線のLANを引いて、パソコンを複数台つなぎまして、院内にサーバーをおきまして、院内のみで完結する電子カルテのことですね。
この場合、患者さんのカルテの情報は院内のパソコンとかハードディスクの中に保存されている、ということになります。
それに対してクラウド型は、これに関してはもはや説明がいらないかもしれませんけど、カルテの情報が院内ではなくて、その電子カルテ会社の持つサーバーの中にあって、そこから情報を取り込んで診察する、という形ですね。
最近はアップルならiiCloudとか、あとはGoogleのgGmailもGoogleのサーバーの中にメールの情報があって、そこを見にいってますよね。
それと同じ仕組みですね。
私の時はオンプレ型、院内にデータを自分で保管する方の電子カルテしかなかったんですけど、最近はクラウド型の電子カルテも増えてきまして、かなり選べるようになってきました。
そしてこのオンプレ型、クラウド型、それぞれ一長一短がありますね。
今日はもし私が今新規開業するならどう考えるのか、お話ししてみたいと思います。
まずはそれぞれの特徴の説明の後に、私が今なら考えることをご説明したいと思います。
もちろんどこにも利益相反なく、今思っていることを正直に話してみたいと思います。
まず、そもそもオンプレ、クラウドどちらだったとしても、 UI、ユーザーインターフェースがしっくり来ないと思っているものは選ばないと思うんですね。
これは正直直感というか、相性みたいな部分ってあると思うんです。
電子カルテって1日のうちで一番長く使うことになりますもんね。
ですのである程度触ってみて最低限生理的に受け付けない、みたいなことがないかは大事ですね。
あとは、レセコンと連携はどうかとか、レセコン一体型なのか、とかの部分もあるんですけど、話がややこしくなるので今回はここは触れずにお話ししたいと思います。
オンプレミス型の特徴とメリット・デメリット
その上でまずそれぞれの私の思うメリットでメリットを考えてみたいと思うんですけど、まずオンプレ型のメリットは、一番私が大きいと思うのは、カルテの情報が自分の手元にあるという安心感ですね。
院内のサーバーにデータがありますし、バックアップも取ってますから、このふたつが同時にダメになってしまわない限りカルテ情報は守られるわけですよね。
大洪水で医院が浸水する、みたいなことがあればわからないですけど、その心配があるならバックアップハードディスクを別の場所に保管するようにしておくといいと思います。
あとは、クラウド型より電子カルテのサポートセンターが充実していることが多いですね。
前回の放送でも少し触れましたけど、電話をかけるとすぐ色々教えてくれるのはすごくありがたいですね。
私のような古いタイプの人間だと、このオンプレ型の2つのメリットはやはり今でも魅力的ですよね。
次にオンプレ型のデメリットですけど、まず値段が高い、ということですね。
クラウド型が場合によっては100万円を切る導入コストだったりしますけど、オンプレ型は大体300万円くらいが導入にかかって、月々のサポート料が3万円くらい、というのが相場ですね。
その代わり電話サポートなどが充実している、という感じですね。
あとオンプレ型のデメリットは、往診などの院内以外での対応が弱いことが多いことですね。
まあこれは当然ですよね。
院内にデータがあるわけですもんね。往診先で使ったりとか、家でカルテを書きたいとかのニーズには弱いことが多いと思います。
最後に大きなデメリットなんですけど、大体10年くらいでソフトの入れ替えが発生するんですね。
その時に全部を買い直す必要が出てきますから、ここでまた初期と同じくらいの金額が発生するんですね。
私も開業して10年目くらいにまた300万円くらい払って全部の端末を入れ替えました。
クラウド型の特徴とメリット・デメリット
次にクラウド型のメリットですが、一つは安い、ということですね。先ほど言ったようにオンプレ型よりかなり安価で始められますから、ここは大きなみりょくではありますよね。
あとはインターネットに繋がってさえいたら使えるわけなので、往診ももちろんそうですし、家での使用も簡単ですね。
他には端末を増やすとか、PCを買い換えるとかも簡単ですね。ここはまさにクラウドの強みですよね。
PCが使えなかったとしても他のPCにすぐ変えることができますもんね。
他には、google Chromeなどのブラウザ上で動いたりしますから、こういったものを使い慣れている世代にはUIという意味では非常に使い心地がいい、ということはあるかもしれません。
あとは先程の10年経った時の買い替え、というものはないですよね。
もちろんPC自体の劣化はあると思いますからこれはひつようだと思いますけど、端末の買い替えだけですもんね。
次にデメリットですが、やはり一番大きいのは、データが院内にない、ということをどう捉えるのか、ということですね。
もちろん電子カルテ会社もキチンとデータを保管されているとは思いますけど、そこの信頼性ですよね。
あとは電子カルテ側のサーバーダウンとか、インターネットがつながらなくなることで診療がストップしてしまうことですね。
これは電子カルテ会社の復旧を待つしかなくて、こちらで何もできないですから、これがたびたびあるようだとやはり心配になります。
実はオンプレ型でもPCが止まってしまって困ったことは私は何度もあるんですけど、その時はすぐ担当者に連絡して、すぐきてもらって修復してもらった、ということはありましたね。
その間の1、2時間くらいはやはり診療が止まってしまってましたよね。
なのでオンプレ型ではこのサーバーダウンは全くないかというとそうでもない部分でもあります。
新規開業における電子カルテ選びのポイント
ここからは私が今新規開業するならどう考えるのか、なんですけど、ちょっと前まではクラウド型がいいなあと思っていたんですね。
やはりコストの面でもメリットが大きいですし、今後往診も進めていかないといけないかと思う時とやはりクラウドかなあと思ってました。
以前ならデータが自分の手元にないのが心配だなあとおもってはいたんですけど、最近はいいか悪いかわかりませんけど私自身もgoogleとかappleのクラウドとかに正直頼って生きていますから、クラウドにデータがある、ということに慣れてきているというか、慣れさせられてきてますもんね。
そこの抵抗はなくなってる感じですね。
やはり今ならクラウドかなあと思っていたんですが、
最近オンプレミス型の大手の会社さんと話す機会があったんですね。
話を聞いてますと、このオンプレミス型も相当企業努力されてきているようで、かなり値段が安くなってきているようなんですね。
さらに10年後の買い替えも必要なくないようなんですね。
あとは私の不満点だったクリニックの外でカルテを見れない問題なんですけど、
これに関しても、外から遠隔操作で院内のカルテにリーチしてデータを見たり書いたりできるようになっているみたいなんですね。
もちろんそれでもクラウド型よりは値段はまだまだ高いんですけど、初期投資は200万円くらいのものもありますね。
月額は確かに3万円くらいかかりますけど、10年後の買い替えが必要ない、というのは相当魅力だと思います。
電話サポートもありますもんね。
そしてそれでデータが院内で保管できるのはすごく安心ですね。
今後の電子カルテ市場と選択の傾向
ということで、今新規開業するなら、昨年までだったらクラウド型、と思ってましたけど、今オンプレミス型の逆襲も始まってきていて、正直迷って今は半々かも、というのが答えですね。
非常にはっきりしない答えですみません。でもこれが正直な感想なんですよね。
あと最後は冒頭にも言いましたけど、操作性が気にいるかどうかが決め手になる気もします。
いかがだったでしょうか。
もはや医院開業に必須の電子カルテについて、今日は話してみました。
今日もかなり具体的な話になってしまいましたね。
ただこれからも広く聞いてもらえる話も、こういった具体的な話も色々配信していきたいと思っています。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,700名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。