
医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
開業医の年収とは?現役開業医の視点から
今日は、開業医の年収、ということについて私が考えていることをお話ししたいと思います。
そしてその中で私は、開業すると、勤務医の時の3倍は稼ぐつもりじゃないといけないと私は思っているんですね。
あらかじめ断っておくんですが、診療内容とかしたいことを追求する、という仕事内容、ということは完全に横に置いておいて、年収、という側面だけの話、ということをご理解いただきたいと思います。
このやりたいことが開業しないとできないのなら、年収なんか関係なくやるべきでしょうし、人生の価値基準はお金だけではないと私は思ってますから、お金以外の価値基準は今回は全く考慮に入れていない、ということを十分理解して聞いていただきたいと思います。
例えばサラリーマンの方が、高給を取ってたけど、自分の夢を見てラーメン屋さんを開く、みたいなことってありますよね。
これって収入という面ではもちろん下がることを覚悟して、やりたいことのために開業する、ということですから、こういうケースも当然医師でもあると思います。
こういったケースは今回の話は含んでいないということですね。
勤務医と開業医の年収の比較
さて、ここから本題。
収入面のみでの、開業と年収の話なんですが、これは私個人の感覚なんですが、開業してもし勤務医と同じくらいの年収で収まるくらいなら、これは開業しない方がいいと思うんですね。
正直最低勤務医の2倍以上はないと開業するメリットはないと思うんです。
そして目指すなら勤務医の時の3倍は最低目指すべきだと思うんですね。
勤務医の先生の中で開業している先生方に話を聞いて見られた方もあるかもしれませんけど、
あとはtwitterなんかでも情報は飛び交っていてそれを見られている方もおられると思うんですが、その中で、開業なんかしない方がいいよ、という人がいたり、でもその一方でなんだか羽振りのいい先生がいたり、実際はどんなもんなんだろうと思っている方も多いと思います。
この開業すると勤務医の時の3倍を目指すべき理由は次回お話しするとしまして、今日は実際開業医が皆開業して収入に今どう感じているのか、そんなお話をしたいと思います。
開業医の年収における幅と実際の感覚
まず開業医自身が自分の状況をどう思っているのか、なんですけど、結論から言いますと、これって結局一括りに言えるものではない、ということなんですよね。
どういうことかというと、開業医って結局自営業なので、自分で働き方を自由に決められるわけなんですよね。
その上で、当然患者さんがたくさんくることもあるし、全くこないこともありますよね。
ですので、クリニックの院長によって感じていることが全然違ってくる、ということです。
例えると、プロ野球選手、というよりJリーガーぐらいがいいですかね、例えば年俸500万円のA選手もいれば、年俸1億円のB選手もいると思うんですけど、そのA選手とB選手にJリーガーになってどうですか?って聞いてもおそらく感じてることは違うんだろうと思いますよね。
A選手は、プロというのは厳しい世界だなあというかもしれませんし、B選手は高級車に乗って羽振りよく後輩たちに奢って、サッカーって夢があるよ、と語ってるかもしれませんよね。
これって開業医も同じで、勤務医の時より厳しい財政状況の人もいると思うんですけど、もちろん大豪邸をたてて豪遊している人もいる、ということですよね。
でその幅が勤務医より広いですから、そのどこに属する人かで印象が全く違ってくる、ということはあると思うんですよね。
具体的にぶっちゃけていうと、勤務医が大体ある程度の年数が経てば年収800万くらいからピークが1000万ちょっとくらいで、2000万を超える人は院長クラスとか少数、という感じかと思うんです。
もちろん研修医とか、大学の非常勤扱いの医員なんかだともっともらってなかったりしますけど、バイトで稼いでいたりすることもあるでしょうし、大体低くて800マン、高いと2000マンを一部の医師が超える、という感じだと思います。
なので勤務医は大体その間、に収まる、ということですね。
開業医は、というと、マイナス数百万から数千万、一番上は1億くらい、という感じだと思います。
大体2500万くらいが平均値ということだと思います。
私の周りの先生の感覚では、3、4000万円くらい、という先生が多い感じがしますね。
この平均2500万というのは、非常に高齢でそれほど積極的に経営していない、という先生も含むでしょうから、実際の平均はこれよりは多い、ということはある気がします。
ただ逆に法人にしていると自分の給料を調節することもできますから、あえて少なくしている先生もあると思いますね。
結局やはりトータルの平均ではやはりこれくらいになるんだろうと思います。
ここより上にいくことがあるのか、ということで言いますと、これは保険診療ではなかなか難しい、というのが実際のところだと思います。
1人で見られる患者さんの数は限りがありますし、値段設定は国が決めている、という事業ですから、自ずとアッパーは決まってくる、ということですね。
もちろん複数のクリニックとかベッドがあるクリニックをされていたり高額な手術をしていたりすると話は変わってはくると思います。
ここで勤務医が1500万に対して開業医2500万なら、やっぱり開業医は儲けてていいよね、とこの数字上だけでは感じる人もあると思うんですけど、これって正直全然倍の差ではないんですよね。
感覚的には勤務医1500万と開業医2500万は感覚的にはトントン、という感じがしています。
いやむしろ勤務医1500万のほうがいい、という部分もあるかもしれません。
その理由についてはいつか配信で詳しく話してみたいと思うんですけど、この数字に惑わされないで欲しい、というのが本音ですね。
ただこうやって開業医の側が色々説明しても、そうは言っても儲けてるんでしょ、いい車乗ってるんでしょ、と思われたりすることもあって、いやいや違うんだよ、と否定しても伝わりきらないのでそもそも開業医の側は声をあげない、という部分もあるでしょうね。
開業医と勤務医の年収比較の限界
ただ、そもそも勤務医と開業医の給料を比較する、ということ自体非常にナンセンスだと私は思っているんですね。
というのは、勤務医というのは病院から給料をもらう働き方わけですから、基本的には患者さんが来ようが来なかろうが定額の給料が入るわけなんですね。
ですけど開業医は個人事業主ですから、私は年収いくらの人です、ということが言える、ということはなくて、今年は3000万円だったけど来年は1000万かもしれませんし、5000万かもしれないわけなんですよね。
ただ過去は基本的に安定している職業ではあったわけなんですが、コロナみたいなことがあったらマイナスになることもありますもんね。
サラリーマンの給料とラーメン屋店主の給料を比べたりすることって普通しないですよね。
これって意味がないというのは大体感覚的に感じられると思うんですけど、これと同じですよね。
なのに開業医と勤務医だけは昔から同じように年収いくら、みたいな比較をされるんですよね。
まあこういった比較の情報がながれたりするのは、これはおそらく厚労省の思惑とか、世間とかメディアが叩きやすいみたいな部分があって、勤務医VS開業医みたいな図式にして分断すると得する人たちがいる、ということもあると思ってますね。
正直勤務医も開業医も同じ医者ですし、私自身も開業するまでは勤務医でしたし、またいつ戻ることになるかも分かりませんもんね。
なので勤務医VS開業医みたいな図式にしようとする報道とか情報を見たとしても、そういうものに医者自身が乗ってしまわないようにしないといけないですよね。
開業医の仕事と年収のトレードオフ
さらにもう一つこの分断を医者自身が加担しないようにするべき理由が私としてはもう一つあると思っていて、それは、これから開業医で働く勤務医の先生がどんどん増えてくるだろうと思ってるんですよね。
でも医者を雇えるクリニックというのは当然ある程度の規模になっているクリニックしか雇えないと思います。
なので、今病院の勤務医だけど将来的にクリニックで働く、という先生がこれから増えてくるだろうと思うんですけど、その時に開業医がすべて余裕のないところばかりだと、働き先さえなくなってしまう、ということもありますよね。
ですので、開業医は稼ぎすぎだというような情報、実際はそうでもないこともあるんですが、そういう情報に医者の側は惑わされないようにしないといけないと思います。
むしろ勤務医開業医関係なく医者一体として今後どうなっていくべきかを議論していく方が生産的だと思いますね。
開業医の年収と医師業界の未来
ちょっと話はそれましたけど、じゃあ実際開業するとどうなるのか、ということでいいますと、うまくいけばひょっとすると1億を目指せる夢があるかもしれないけど、勤務医より悪くなる、もしくはマイナスになる可能性もある、ただ全体的には勤務医より自由になるおかねが増えることが多いかも、という感じかと思います。
そして当直がなくなったり長時間の手術などはなくなったりして自分の時間は増える、ということもあると思うんですけど、経営者としての人事やお金の管理の仕事やストレスはかなり増える、ということなんですね。
で、その経営者としての仕事の対価分くらいは少し裕福になれる確率はまだ高い仕事、という感じでしょうか。
あとは診療時間を調節したり日数を増やしたりしてと自分の時間と収入をトレードオフにすることも自分の意思でできる、というメリットもあるかもしれません。
あっ、でもこれは医師ならバイトで増やす、という方法もありますから、開業医のみのメリットではないかもしれませんね。
ということで、今回は開業医の年収について考えて見ました。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,700名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。