
医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
税務調査とは?クリニックにおける実情
今日は、当院が受けた税務調査についてのお話をしたいと思います。
税務調査って勤務医の時は当然そうですし、開業してもしばらくは通常受けることがないですから、どんなことになるのか全くブラックボックスの話だと思うんですね。
当院は今までに一度だけ税務調査を受けたことがあるんですね。
今日はその時のことを、どんな感じだったかお話ししたいと思います。
今日はどちらかといえば普通の税務調査の経験を語る回ですので、そんなに面白いオチがあるわけでもないので、期待せずに聞いていただければと思います。
税務調査が行われるタイミング
まず開業して何年目に税務調査に入られたのか、ということが気になられる方も多いと思うんですけど、当院は5年目に個人事業から医療法人に法人化してるんですね。
その個人事業の間は税務調査を受けることはなかったです。
法人化して3年目くらいですかね、税務調査のお知らせが届いたんですね。
どういう時に税務調査が入るのかなんですけど、これは私が税理士さんとかに聞いた話なんですけど、明らかにあやしい申告なんかかあった場合に入られるというケースとか、内部告発で入られるみたいなケースと、医療法人になって何年かして定例的に入られるというケースとがあるようなんですね。
当院は今回は法人化して3年目くらいで、定例的に調査に入られたというパターンでした。
税務署の担当者とのやりとりは全て当院が顧問をお願いしている税理士さんがやってくれたんですね。
大体どこもそうだと思います。
で調査に入られる日が相談で決まるんですね。
うちは普通に診療中に、当院の患者さんの問診を取ったりする部屋に税務署職員の人が来て、そこに資料を山積みにして、色々ファイルを見られていましたね。
その部屋に一緒に顧問税理士さんもいて、私の代わりに質問に答えてくれている、という感じでした。
時々私も診療の合間に顔を出して挨拶したりしましたね。
その時点では税務署職員はそんなに気になることはなかったみたいで、すごく円満な感じで話が進んでまして、昼過ぎに資料を持って帰っていいですか、と言われて帰って行かれたんですね。
時間が長い時は夕方までで、翌日にまたこられたりすることもあったりするみたいですから、その時点ではすごく順調な方の調査だったようですね。
私の顧問税理士さんは色々細かく申告書をきちんと書いていてくれてたようでしたので、その時点での心象はすごくよかったんですね。
クリニックの税務調査で見られるポイント
ちょっとその日の経験談の続きの話の前に、クリニックはどういったところを指摘されるのは、について話してみたいと思います。
まず当たり前ですけど、税務署的に見たいのは、売上をきちんと申告しているかということと、経費を余分に計上していないか、ということの2つだけなんですよね。
要するに、税額を減らそうと思ったら当たり前ですけど利益を圧縮したらいいわけなので、そのためには売り上げを実際より低くするか、経費を大きくするか、しかないわけなんですね。
たとえば飲食店とかだったら、正直現金でお客さんがお金を払ってたらそれをポケットに入れてたとしてもバレにくい、ということってありますよね。
1人でバーの経営してる、みたいな感じだったら、その日の売り上げを少し少なく言ったとしてもだれもわからないですもんね。
まあそうやって売り上げを誤魔化してるバーとか飲食店なんていくらでもあるんだろうと思いますよね。
もちろん税務職員もそんなことはよくわかってて、怪しいと思ったら潜入して調べたりすることもあるようですね。
こんなにお客さんが来てるのにこの売り上げなわけない、みたいなのは見たりするようですね。
という感じで、現金商売とかだったら売り上げを誤魔化す、ということは重要な調査の対象になるわけなんです。
じゃあクリニックはどうか、ということなんですけど、自費医療だとちょっと違ってくると思いますけど、保険診療だと、売り上げの8割は国保や社保から振り込まれますから、この入る方を誤魔化す、ということはほぼできない業種なわけですね。
クリニックって基本的には脱税的なことはしにくい業種と言えると思います。
とすると論点になるのは、経費の部分、ということになりますよね。
何に経費を使ってるのかを税務職員は細かくチェックする、ということになります。
具体的には接待交際費とか、あとはプライベートの費用をクリニックの経費として計上していないか、ですね。
他には別の会社に委託しているような費用があったりしたら、それが本当に実態があるのか、みたいなことを見られるんです。
で大体クリニックで追徴課税になるのは、この経費が認められない部分があると指摘される、というパターンがほとんどだと思います。
クリニックの税務調査の体験談:当日の流れ
私の経験談に戻るんですけど、さきほど言ったように、当院に調査に来た日はわりといい感じで終わったんですけど、そのあと、すごい剣幕で顧問税理士さんに連絡があったみたいなんですね。
それは何かというと、プライベートと仕事の両方で使うものの按分の割合がおかしい、とか、スタッフの診療費を福利厚生費にしたりしてたんですけどそれは認められない、みたいな話とか、いくつかの指摘が後であったようなんです。
ただその中で私的にはちょっと納得できない部分もあったりして、税理士さん通して色々話をしたんですね。
いま考えるとここでちょっとキレておく、みたいなのも税務職員の技だったのかもしれないですね。
でまあでも結局どこかで折り合いをつけないとキリがない、という感じになって、ある程度はこちらも認めて少しの追徴課税を支払った、ということになったんですね。
ここで私は税務調査に関して感じたことは、経費とかって正直グレーと言える範囲が相当大きいんだなあということなんですね。
プライベートなのか仕事で使う経費なのか、みたいなのは私が以前思っていた以上にグレーの範囲がひろいんだなあという印象でしたね。
でそのグレーの部分をどう解釈するのかは、税務職員と税理さんの力関係だったりその時の雰囲気とかで決まる部分が相当大きいんだなあと思いましたよね。
税務署職員の心象がいいのか悪いのか、とかでもかなり変わるんだろうと感じましたよね。
ちょっと途中で関係が険悪になりかけた時に、税務職員の方が、ここをきちんと説明しないともっと関係の会社とかあちこちに入って調べることもある、みたいなことを言われたりしましたね。
このあたりは正直駆け引きみたいなところがあって、顧問税理士さんのもちろん税務処理能力も大事ですけど、それ以上にコミュニケーション能力も重要なんだろうと思いましたよね。
ここで心象が悪く終わってしまったら、また近いうちに税務調査に来られることが確定する、ということもあるようですしね。
私自身は特に何もできないわけなんですけど、色々と疲れましたね。
税務調査後の教訓と顧問税理士の重要性
で結局は最終的にはまあある程度無難に終わった、という私に税務調査の経験でした。
いかがだったでしょうか。
まあクリニックで税務調査に入られてもそもそもそんなに無茶なことはできないでしょうから、心象を悪くしなければそこそこの話し合いで終わることが多いようですね。
なのでことさら恐れなくてもいいかもしれませんけど、税理士さん任せになるというか、税理士さんのの手腕がものを言いますから、 そのあたりのコミュニケーションが上手に取れる人を顧問にされるのがいいかもしれませんね。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,700名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。