医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
今回は、クリニック開業時に契約することになる内装業者についてです。
開業に際し内装を設計し、作ってもらうわけなんですが、それを施工といいます。
そしてその設計と施工を業者に頼むわけなんですが、開業まで医師はそういった経験は全くないわけなんですね。
でも自分の理想のクリニック作りの一歩目ですから、どんな色にしようとかどんな受付にしようとか、ワクワクする時間ではありますよね。
しかし、そういった医師の浮ついた気分をうまく利用されることもあって、値段の相場感もわからず契約してしまい、後で後悔するということもあるんです。
今回は、私や周りの医師が出会った内装についてのトラブルとその対策、まとめの順でお伝えしたいと思います。
クリニックの内装でよくあるトラブル3つ
まずは私が見聞きした、医院内装工事でのよくあるトラブルについて3つあげてみます。
① 値段が高すぎる
1つめは「値段が高すぎる」ということです。
医師は相場観がありませんから、値段を高くふっかけられるということは本当に多いです。
さらに、開業コンサルタント経由で契約したりしている場合、そのコンサルタントに紹介料という名目で場合によっては1000万円くらい費用を上乗せされているケースも聞いたことがあります。
それでも医師はこの内装工事が1500万なのか、2500万なのかよく分かっていないですから、そのまま契約していたりすることもあるようです。
また、お金をかけなくて良いところにお金をかけてしまうということもあります。
例えばラーメン屋や美容院での内装のトラブルに時々あるのが、値切ったら安っぽい建具を付けられてあとで揉めるということがあると聞きますが、医院においては逆で、むしろ相手にどちらかといえば高いものを買わせようとされたりして、無駄に高くなりすぎるということは本当によく聞きます。
高い装飾は、それで患者が来るというようなことではありませんからこだわりはそこそこにしておいてもいいかもしれません。
② メンテナンス対応がいい加減
2つめは「作った後のメンテナンスがいい加減」というトラブルもあります。
内装って出来上がったら終わりではなくて、後から修繕が必要となったり使い勝手が悪くて作り直したりというのは本当によくあります。
そういった時は開業時の内装業者に連絡することが多いのですが、その場合でも安い修繕などにはきちんと対応してくれないという所もよくありますね。
開業後のアフターフォローに関してはきちんと確認しておくべきだと思います。
③ クリニックならではの動線がわかっていない
3つめは「クリニックが分かっていないので動線などが間違えている」ということですね。
車椅子やストレッチャーが入らない、機械が通らない、など開業してから気づくことがあります。
後はスタッフが急いで通り抜ける廊下が狭くてスタッフのストレスがたまる、ということもあります。
スタッフの通路と患者の動線が一緒になるようなことも避けないといけません。
クリニックならではの部屋などの配置、ということに理解がある業者を選ぶべきだと思います。
もう一つ、クリニックならではの問題として電力や水道に配慮がないということもあります。
クリニックの機械によっては電力容量がかなり大きくいることがあるんですね。
これをよくわかっていない内装業者だと、作ってからブレーカーが落ちまくって困るということを経験しているクリニックもありました。
また、コンセントの挿し口やLANの挿し口が足りなくて困るケースもよくありますね。
今の医療機器はほとんどLANと電力が入りますから、これらが多すぎて困ることはありません。
こういったことはクリニックに詳しくないと気づかない点ですね。
あとは、水回りの問題ですね。
水道管をどこに通すのかということは十分考えたほうがいいですね。
例えば手術をするような場合など蛇口が多数いる場合は、床上げをして下に水道管を通すということをした方がよい場合もあります。
ちょっと細かくなってきましたが、こういったことで後で問題になることは非常に多いです。
クリニックの内装で失敗しないための対策6つ
ではどうしたらよいのか、クリニックの内装で失敗しないための対策のポイントを6つあげます。
まずは1つめ、業者の選定は誰かの紹介が安全だと思います。
その紹介もできればコンサルタントではなく先輩開業医がいいでしょう。
コンサルタントと内装業者がグルということは時々ありますからね。
2つめ、クリニック工事の経験があること、特に同じ診療科目の経験は重要だと思います。
例えば精神科と耳鼻科と整形外科では考えることは全く違いますから、打ち合わせの段階でこれらをきちんと理解している業者でないとダメでしょう。
3つめ、開業後のメンテナンスについて相談しやすいかも確認すべきです。
これに関しては業者から聞くだけでなく、すでにそこで内装工事してもらった先輩に聞くべきだと思います。
4つめ、設計図面は時間をかけて考えるべき、です。
この内装設計に関しては医師は忙しくてなかなか時間が取れず、案外業者の言いなりに作ってしまうことがありますが、自分でよく考えて時間を十分かけて、こっちの要望をどんどん投げて改善していってもらうべきだと思います。
5つめ、相見積もりは必ずとる、です。
これが一番大事かもしれません。私もほとんど最後まで1社に決めていたのですが、最後の別の業者に見積もりを出してもらうと200万下がりまして、結局その見積もりを出すことで値下げしてくれたので、最終的に一つ目の会社に決めました。
この手間を惜しむべきではありませんね。
6つめ、先輩開業医に相談するべき、です。
それも複数の先生がいいですね。
一人の先生だと、その先生が高い値段を摑まされていたとしてもわからないですもんね。
そして何度も見学に行って、先輩方の内装の後悔している点を聞くのがいいと思います。
クリニックの内装で失敗しないための大事なポイント
最後に大事なポイントをまとめますと、値段を上げなくても色合いなどで高級感を出すことはできますから、無駄に高いものを使わずじっくりと時間をかけてクロスや床材などを探すのがいいと思います。
そこにお金をかけるより、動線、収納、今後の拡大の展開などを中心に考えてつくるべきですね。
医師は多忙なことが多いですが内装に関しては素人であることは間違いないですから、ネットなどで自分で調べたり先輩開業医によく聞いて、相場観や内装工事の常識などの情報を十分集めることが大事ですね。
いかがだったでしょうか。
内装工事は、まずはとにかく信頼できる先輩に相談する、ということから始めるべきだと思います。
今回はかなり各論的、具体的な話になってしまいましたが、開業すると必ず通る道ですので、こういったことも今回はテーマにしてみました。
この記事が先生のお役に立つことができれば幸いです。
※この記事はVoicyでの音声配信の内容をもとに、一部再編集してアップしています。
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