【医療DX推進体制整備加算】10月以降の変更点とマイナ保険証利用率

【医療DX推進体制整備加算】10月以降の変更点とマイナ保険証利用率

このコラムでは2024年度(令和6年度)診療報酬改定での医療DX推進体制整備加算について解説していますのでご参考ください。

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医療DX推進体制整備加算とは?

医療DX推進体制整備加算は2024年6月の診療報酬改定で新設された項目です。

この項目は厚生労働省の求める医療DXに対応する体制を確保したことを評価する点数で、算定のためにはオンライン資格確認の導入をはじめ、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入、受診患者のマイナンバーカード利用率の一定以上の実績などの条件をクリアする必要があります。

厚生労働省の求める医療DXとは?

具体的な施設基準や算定要件の説明に入る前に、そもそも厚生労働省が進める医療DX施策について見ていきましょう。

そもそも医療DXの目的はなんでしょうか?厚生労働省のサイトにはこのように記載されています。

「医療DXは、医療分野でのデジタル・トランスフォーメーションを通じたサービスの効率化や質の向上により、①国民の更なる健康増進、 ②切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供、③医療機関等の業務効率化、④システム人材等の有効活用、 ⑤医療情報の二次利用の環境整備の5点の実現を目指すものであり、我が国の医療の将来を大きく切り拓いていくものです。」

要するに医療についてのデータ(電子カルテデータや診断書のデータ、診療報酬の請求データ、紹介などの地域連携データなど)をクラウドに集約し、効率化や適正化、または予防やより良い医療の提供に活用していこうとする取り組みです。

医療DXの主な具体的な施策として、

・オンライン資格確認の導入

・電子カルテ情報共有サービス

・標準型電子カルテシステム

・電子処方箋

・公費負担医療制度のオンラインによる資格確認

・予防接種事務のデジタル化

・診療報酬改定DX

などが挙げられており、その中で今回新設された医療DX推進体制整備加算ではオンライン資格確認、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋の導入が施設基準として求められています。

医療DX推進体制整備加算の点数・算定要件・施設基準(2024年9月まで)

点数:

医療DX推進体制整備加算 : 8点(初診時、月1回限り)

算定要件:

下記の施設基準を満たす医療機関において初診を行った場合、月1回に限り8点を所定点数に加算する。

施設基準:

(1)オンライン請求を行っていること。

(2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。

 (3)医師が、電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。

(4)電子処方箋を発行する体制を有していること。(経過措置 令和7年3月31日まで)

(5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。(経過措置 令和7年9月30日まで)

(6)マイナンバーカードの健康保険証利用の使用について、実績を一定程度有していること。(令和6年10月1日から適用)

 (7)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所及びウェブサイト等に掲示していること。

上記施設基準のうち、

(4)の電子処方箋の導入は令和7年3月31日まで、

(5)の電子カルテ情報共有サービスの導入は令和7年9月30日まで

(7)見やすい場所及びウェブサイト等への掲示は令和7年5月31日

は経過措置期間となっていますので、実際に導入や実施をしていないくても基準を満たすこととみなされます。

また(6)のマイナンバーカード使用の実績については令和6年10月1日からの適用となります。

医療DX推進体制整備加算の24年10月以降の変更点

今までマイナンバーカード使用実績については「一定程度有していること」という記載のみで、具体的な数値は公表されていませんでしたが、2024年7月17日の中医協総会にて具体案の答申が行われました

本件はその後8月中に告示、10月より改定となる見込みです。

10月以降の医療DX推進体制整備加算の変更点は以下となります。

・マイナンバーカード利用率に応じて医療DX推進体制整備加算1〜3までの3段階制とする

・医療DX推進体制整備加算1、2は「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること。」という条件が新設。

<24年10月以降の点数と施設基準の変更点>

医療DX推進体制整備加算1 :  11点

[施設基準(医科医療機関)] (要旨)

(6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、十分な実績を有していること。

(新)マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること。

医療DX推進体制整備加算2  : 10点

[施設基準(医科医療機関)] (要旨)

(6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、必要な実績を有していること。

(新)マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること。

医療DX推進体制整備加算3  : 8点

[施設基準(医科医療機関)] (要旨)

(6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を有していること。

それぞれの算定条件となるマイナ保険証の利用率は以下の通りです。

※令和7年4月以降のマイナ保険証利用率要件は、令和6年末を目途に検討、設定。

医療DX推進体制整備加算の疑義解釈

最後に医療DX推進体制整備加算について現在出ている疑義解釈について特に重要な点を要約してお伝えしますので参考にしてください。

令和6年3月28 日 疑義解釈(その1)より引用https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/000328786.pdf

Q:「A000」初診料の注 16 に規定する医療DX推進体制整備加算(以下「医療DX推進体制整備加算」という。)の施設基準において、「オンライン資格確認等システムの活用により、患者の薬剤情報、特定健診情報等(以下この項において「診療情報等」という。)を診療を行う診察室、手術室又は処置室等(以下「診察室等」という。)において、医師等が閲覧又は活用できる体制を有していること。」とあるが、具体的にどのような体制を有していればよいか。

A:オンライン資格確認等システムを通じて取得された診療情報等について、電子カルテシステム等により医師等が閲覧又は活用できる体制あるいはその他の方法により診察室等において医師等が診療情報等を閲覧又は活用できる体制を有している必要があり、単にオンライン資格確認等システムにより診療情報等を取得できる体制のみを有している場合は該当しない。

Q:医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「「電子処方箋管理サービスの運用について」(令和4年 10 月 28 日付け薬生発 1028 第1号医政発1028 第1号保発 1028 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長・医政局長・保険局長通知。)に基づく電子処方箋により処方箋を発行できる体制を有していること。」とされているが、電子処方箋の機能が拡張された場合について、どのように考えればよいか。

A:現時点では、令和5年1月 26 日に稼働した基本機能(電子処方箋の発行・応需(処方・調剤情報の登録を含む。)、処方・調剤情報の閲覧、重複投与・併用禁忌のチェック)に対応した電子処方箋を発行できる体制を有していればよい。

Q:医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。」とされており、アからウまでの事項が示されているが、アからウまでの事項は別々に掲示する必要があるか。また、掲示内容について、参考にするものはあるか。

A:まとめて掲示しても差し支えない。また、掲示内容については、以下のURL に示す様式を参考にされたい。
◎オンライン資格確認に関する周知素材について|周知素材について(これらのポスターは医療 DX 推進体制整備加算の掲示に関する施設基準を満たします。)
https://www.mhlw.go.jp/stf/index_16745.html

Q:医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる保険医療機関であること。」を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示することとしているが、「マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる」については、具体的にどのような取組を行い、また、どのような掲示を行えばよいか。

A:保険医療機関において「マイナ保険証をお出しください」等、マイナ保険証の提示を求める案内や掲示(問 17 に示す掲示の例を含む。)を行う必要があり、「保険証をお出しください」等、単に従来の保険証の提示のみを求める案内や掲示を行うことは該当しない。

令和6年4月12 日 疑義解釈(その2)より引用

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/000332281.pdf

Q:「A000」初診料の注 16 に規定する医療DX推進体制整備加算(以下「医療DX推進体制整備加算」という。)の施設基準において、「国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること。」とされており、また、当該施設基準については令和7年9月 30 日までの間は経過措置が設けられているが、電子カルテ情報共有サービスについて、届出時点で具体的な導入予定等が不明であっても、当該加算は算定可能か。

A:経過措置が設けられている令和7年9月 30 日までの間は、算定可能。なお、電子カルテ情報共有サービスの導入等の具体については、当該サービスが実装可能となった時期に疑義解釈を示す予定である。

Q:医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「「電子処方箋管理サービスの運用について」(令和4年 10 月 28 日付け薬生発 1028 第1号医政発1028 第1号保発 1028 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長・医政局長・保険局長通知。)に基づく電子処方箋により処方箋を発行できる体制を有していること。」とされており、また、当該施設基準については、令和7年3月 31 日までの間は経過措置が設けられているが、電子処方箋について、届出時点で未導入であっても、当該加算は算定可能か。

A:経過措置が設けられている令和7年3月 31 日までの間は、算定可能。なお、施設基準通知の別添7の様式1の6において、導入予定時期を記載することとなっているが、未定又は空欄であっても差し支えない。

Q:医療DX推進体制整備加算の施設基準で求められている電子処方箋により処方箋を発行できる体制について、経過措置期間終了後も電子処方箋を未導入であった場合、届出後から算定した当該加算についてどのように考えればよいか。

A:経過措置期間終了後は、当該加算の算定要件を満たさないものとして取り扱う。

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記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の監修者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,300名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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