
医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
リスティング広告とは?クリニックでの活用概要
今日はgoogleリスティング広告について、どういう考え方で運用して行った方がいいのか、というお話をしたいと思います。
googleリスティング広告って、ご存知ない方はないかと思うんですけど、一応簡単に説明しておきますと、いわゆるgoogle検索すると、検索結果の上に出てくる広告の部分のことですね。
ここに自分の選んだキーワードで人が検索した時に、自院のHPなどの表示が出てくるように広告を出すことができる、というサービスですね。
そしてこれの金額なんですけど、これは人気のキーワードだと高くって、ニッチなキーワードだと安い、ということになっています。
そしてクリックされると課金が発生する、という仕組みですね。
そしてどれくらいの金額をかけるのかは自分で決められまして、例えば上限3万円にすると決めると、3万円分クリックされると自動的に広告が止まる、ということになります。
そんな広告のことですね。
リスティング広告の費用対効果の高い理由
以前からボイシーでも広告について色々とお話ししてきてるんですけど、今まで私が色々と広告を出してきたものの中で、一番費用対効果が高いと思うのはこのgoogleリスティング広告なんですよね。
もちろんだからと言って他の広告をやらなくていいということじゃなくて、それぞれの広告に一長一短がありますから、そこは十分理解してないといけないです。
世代によっても見る広告が変わってきますしね。
ただ私は色々広告を出してきて、その効果を毎月チェックしてるんですけど、google広告が費用対効果が圧倒的に高いことは間違いないんですよね。
クリニックのリスティング広告運用の5つのポイント
google広告を出そうと思ってる先生も多くおられると思うんですけど、出すとしてもどういうことを考えて出したらいいのか、難しいと思っておられる先生も多いと思います。
そこで、google広告を出し続けて10年くらい経っている私が、この広告を出す上で考えている方針を、具体的な数字も少し入れながら、5つのポイントをお話ししてみたいと思います。
1つ目はどういうキーワードで出すべきか。
2つ目はキーワードはどういう基準で続けるかやめるか決めるの、
3つ目は広告を出すエリア選定の考え方
4つ目は金額はどれくらいかけるのがいいのか
5つ目は効果判定はどうするか
という順番でお話ししてみたいと思います。
そして今回は保険診療クリニックでの運用の話で、自費医療はまた全く考え方が変わるかと思いますので、保険診療クリニックに限った話として、ご理解いただければと思います。
(1) 適切なキーワードの選定
まず1つ目、どういうキーワードで出すべきかなんですが、当然まずは診療科目名ですよね。診療科目名だけでもgoogleは今いる場所をGPSで認識していますから、近くのクリニックを出してきますよね。
なのでそこを入れるのは必須ですね。あとはもちろんこの地名でも検索されるだろう、という地域名と診療科目も当然必須だと思います。
あとは疾患名と症状名ですね。
その診療科目の主要な疾患名と症状は網羅するつもりで思いつくまま全部入れる、というのは必要だと思います。
とにかく思いつくキーワードを漏らさず出してみる、ということは重要だと思います。
そして案外ニッチなキーワードが検索されたりしますよね。
で、そういうキーワードは単価が安かったりしますから、患者の視点、気持ちに立って症状とかを考えていくのが大事だと思います。
(2) キーワードの運用基準
2つ目のポイントはキーワードを決めて広告を出した後に、どういう基準で続けるのか止めるのかを決めているのか、についてですね。
広告が出た際のクリック率なんですが、一般事業者では1%クリックされると十分いいとされています。
保険診療クリニックはまだまだ競争が激しくないところが多くって、そもそもgoogle広告を出していないクリニックも多いですから、それよりは高くて3%くらいを目指したいところですね。
田舎とかだともっと高くなることもあると思います。やや都会の郊外という当院では6%くらいクリックされたりします。
でも逆に都心部とかで競合が多くてクリックされにくかったり単価がかなり上がってしまってる時はよく考えないといけないですよね。
あえてメインのキーワードは避けて、ニッチなキーワードだけで勝負した方がいいこともあるかもしれません。
そこは単価とクリック率を定期的にみて、ということになりますね。
(3) エリア選定の考え方
3つ目、エリア選定はどう考えるのか、ですね。
ここはいわゆる自分の診療科の診療圏が一般的にどれくらいなのか、そしてどれくらいに広げていきたいのか、ということで考えていくことになると思います。
例えば内科、耳鼻科、小児科とか気軽に近隣のクリニックに受診するタイプの診療科だと、地域にもよりますけど半径1kmから2kmは当然必要になりますし、それ以上に広げていきたい、という場合は3kmとかそれ以上に広げていく感じになりますね。
それ以外の専門性の高い診療科は、当然広く患者さんを集めることになりますから、広いエリアでかけていく、ということが重要になりますね。
あとは当院で最近やったのは、近隣のクリニックが閉院されたので、そのエリアに重点的に広告を出しましたね。そうするとクリック率が30%以上と脅威の数字になったことがあります。
そんな感じでこのエリアからもっと患者さんにきてもらいたい、という時はそこに十分広告をかける、というのができるのがこのgoogle広告の大きなメリットですよね。
あとは、例えば精神科とか泌尿器科とか産婦人科とか、近すぎると見られたくないのであまり行きたくない、という診療科にとってはこのgoogle広告は非常に威力を発揮しますよね。
少し離れたエリアの患者さんにのみ知らせることができますよね。
という感じで、エリアの選定って結構重要で、全然患者が来ないだろうエリアに出してしまって無駄にクリックされるのは、非常に無駄になりますから注意が必要だと思います。
例えば一般診療の内科なのに、都道府県県全体に広告が出てしまう、みたいなことになると非常に無駄ですね。
そこは気をつけて出さないといけないと思います。
(4) クリニックにおける広告費用の適切な設定
4つ目のポイント、費用をどれくらいかけるのか、ですね。
これはある程度費用をかけないと、効果が実感できないと思いですので、一定の金額はかけた方がいいと考えています。
具体的には月に5万円くらいはかけておかないと、それ以下だとこの広告によって新患がふえているという実感が湧かないと思うんですね。
ですので、かけるのならケチらずそれくらいはかけて、効果判定するべきだと思います。
そもそも広告費は医業収入のどれくらい費用をかけたらいいんでしょうか。
正直広告なんかは一切かけなくても患者さんが多く来られているクリニックって保険診療だとまだまだあるとは思うんですけど、ある程度競合があるエリアだと広告をかけていく必要はあると思っています。
そして、これは考え方にもよると思うんですけど、広告費の低いところで医業収入の1%程度、高いところで3−5%くらいかけているケースが多いと思います。
費用対効果を考えると、同じ金額をかけるなら全部の広告費のうちの50%を超える比率でこういったリスティング広告とか、web関連の広告費をかけるのが無駄がない気がしています。
(5) 効果の評価方法
5つ目のポイント、リスティング広告の効果はどう判定するのか、ですね。
これは一つはグーグル広告上で、電話コンバージョンとか、web予約コンバージョンがどれくらいあるのか、である程度効果を判定することは可能ですね。
ただそこから実際の来院につながっているのかどうかは、クリニック内で把握するしかないですから、これは問診票に来院動機を書く欄を作って書いてもらうのは必須だと思います。
当院ですと、ネット由来での来院が今は半数以上を占めていますね。
もちろんネット由来、というのはリスティング広告だけでなくて、単純な検索だったり、googleマップだったりからの来院もあるとは思います。
ただあるエリアに広告をかけると、そのエリア明らかに増えたりするのがデータをとっているとわかりますから、やはり広告の費用対効果としてはこのリスティング広告に勝るものは今はないですね。
そして費用対効果の考え方ですが、1人あたりの患者さんが払う単価✖️この広告からの来院数が、google広告費より高いと当然効果ありと判断していいと思います。
ただ実際は少し広告費の方が高かったとしても、そこからその新患の方が続けてきてくれたり、口コミを広げてくれたりすることを考えると、費用と利益がトントンだと十分、少し費用が高くなってもOKと考えていいと思っています。
でも実際は今まで当院は明らかにかけた費用以上に患者さんが来てくれていますね。
他の広告は明らかに機能していないものもありますから、やはり費用対効果は高いといえますよね。
外注と自分で運用する場合の比較
あと最後に注意点なんですけど、このリスティング広告を自分でやるのか、外注するのか、誰かスタッフに任せるのかですね。
当院は昔は私自身でやっていましたけど、今は外注というか、人に任せて毎月報告を受ける、という感じですね。
やはりずっと院長がするのは大変ですから、どこかのタイミングで誰かに任せていけるといいですよね。
でも外注する際に気をつけないといけないのは、初めの作り込みはそれなりに時間と手間がかかるとは思うんですけど、特に大きく何かを変える、ということでなければ普段はそれほど頻繁に手を加える必要がないこともあると思うんですね。
ですので、例えばwebマーケティング会社に外注している場合も、サブスクで結構なお金を払っていたりするのなら、実際その金額をはらう価値があるのか、というのは例えば1年くらいで見直していってもいい気がしますね。
リスティング広告の未来とAI技術の可能性
ということで、今日はリスティング広告について、私が考えていることをお話ししてみました。
いかがだったでしょうか。
このリスティング広告のメリットというのは、かなり柔軟に広告を出したいエリアとか、対象とする人を変えていける、ということですね。
看板とかだと当たり前ですけどある駅に出したら数年はそのままですもんね。
でもgoogle広告は、今月は隣の駅に出して効果を見てみて、次の月はその駅はやめて別の場所に広告をかける、ということも簡単にできますよね。
なので患者さんの住所を見て、流動的に広告エリアを変えていくと、非常に面白い結果が見られたりしますね。
今まだ保険診療クリニックだとクリック単価も安いですから、まだの方はぜひ早めに試されるといいと思います。
ただ、ひょっとすると今後は、最近話題のAIによる検索なんかが一般的に進んでいくと、ひょっとするとこの広告以上に別の来院動機が上がってくる、ということもありそうに私は思っています。
ですけどそうなるまではまだ数年はあるかとも思いますので、今の時点で最強の広告と言えるのはこのリスティング広告、ということになるかと考えています。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。現在オンラインサロンは会員数3,700名超。Twitterフォロワー数20,000人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。