医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。
今私はアラフォーなのだが、この歳になって、昔こうしておいたらよかった、
逆にあのようにしたことはよかった、と思うことは多い。
大学医学部在学時代、その時間の貴重さを理解できておらず、考えずに漫然と生きていた。
出席のない授業は出なかったり、昼からの実習は一応出るがその後部活、そして飲み会、朝まで麻雀。
もちろん起きられないので昼ごはんから学校に行きまた実習。
試験はもちろん過去問コピーを集めて前日で徹夜。
再試験からやっと焦って本気になったことも数えきれない。
結果的には留年はしなかったが、親に留年するかもしれないから覚悟してほしいと電話したこともあった。
絵に描いたようなダメダメ大学生生活だった。
もし今私が大学生ならば、もっと無駄なく時間を使うことができるだろうと思う。
今大学生の諸君は、こういった先輩の反省を生かして、ぜひ無駄なく学生生活を過ごしてもらいたいと思う。
そして、大学時代に学んでおくべきことは以下の6つ。
1 経営者としての考え方
2 医学の知識
3 世界がどう変わっていくのか
4 ITの知識
5 お金はどのように動くのか
6 友人は宝
さて次から具体的に、すべきことを挙げていく。
長く続いている飲食店でバイトする
長く続いている小さな飲食店でバイト。
バイト代を稼ぐ目的ではなく、世のビジネスのしくみを知るため。
ただバイト代を稼ぐためなら家庭教師でよいだろう。
どれだけ大きな規模の会社、仕事でも、ビジネスの基本は同じだと思う。
当時はその大事な部分を理解できておらず、小さな店や中小企業などをどこかでバカにしていたような気がする。
しかしどんな仕事をするにも相手にどう喜んでもらえるか、が理解できていないと成り立たない。
これは事業の大小に関わらず同じである。
大企業ではそれぞれの部署で細分化されており、その要素の一部しか見ることができない可能性がある。
その点小さな、町の飲食店は人事、財務、広告、商品という、経営に必要な要素を全て見ることができる。
そして経営者たる店長の振る舞いを見られることが最も大きい。
開業した飲食店のうち5年続くのは1割程度、などと言われている中で、なぜ存続できているのかを学びたい。
利益が出ないと店は存続できない。
利益を出して存続することと、お客さんを喜ばせること。
その両立を目の前で考えている人がいる場所で働くことは、将来に役に立つと思う。
ちなみに本屋などではなく、飲食店である理由は、商品を売るだけでなく、店で手を加える必要がある業種であることが、ビジネスを考えるのに意味があると思うからだ。
医学の勉強は本気でやる
上記のように、当時の私は到底真面目といえる学生ではなかった。
大学生はそういうものだと思っていた。
しかしもし今戻るなら、おそらく授業は真剣に受けるだろう。
今考えれば大学の講義は貴重な機会だったと思う。
もちろん講師によっては適当な授業の先生もいるかもしれないが、それでも今考えると、あれほど要点だけを学べる機会はない。
確かにインターネットを調べると当時より情報はすぐ集められるが、その道のプロの頭脳というフィルターを通って、学生に伝えるべきことが発信される機会はそうそうない。
ホリエモンが大学など行く必要がない、などと論じているのを見たことがあるが、これに関しては、彼くらい自ら要点を無駄なく集められる人にとっては大学は時間の無駄、という意味だ。
私のような平凡な頭脳の人間は、誰かがまとめたSTEPみたいな(今もあるのか?)内容が読みやすいわけで、やはり人から教えを請うことほど頭に入ることはない。
ということで、あなた方大学生諸君は今からでも遅くはない、大学の講義に出よう。
そしてもう一点、論文を読む癖をつけるのが良い。
全くわからなくても良い。
しかし月1本でも、真剣に理解すべく読むようにするだけでも、後の役に立つことは私が保証する。
そして学んだことをyoutubeなどでアップしていくのも面白いかもしれない。
今後は個人が発信していかないといけない時代である。その練習をしておくのは意味がある気がする。
その際SNSコンプライアンスをしっかり守らないといけない。
間違っても炎上動画をアップしてはならない。
留学はしないが海外旅行には行く
留学は全く興味がないし、必要性も感じない。
特に語学留学と称して先進国に行く留学は私ならしない。
留学自体を否定しているのではない。
語学以外の何かはっきりとした目的があって行く留学は非常に意味があると思う。
語学は、日本でも本気を出せば学べると思うし、今後自動翻訳がもっと進めばそれほどこの壁は問題なくなるかもしれないと思っている。
とすると、大学生で語学以外の目的があり得るだろうか。
多くの場合はないだろう。
なんとなく海外に住みたい、という意味の留学は必要がないと思っている。
社会人になり、医師として研究する、日本にない手術を学ぶ、などは意味がある留学だと思う。
留学は、何を学ぶのかをはっきりさせた上で行かないと時間がもったいない。
(これは医師以外の方はまた別の話かもしれない。海外にしばらく住むことでビジネスに繋がったりすること可能性もあるだろう。
しかし医師は一人前になるのに時間がかかる職業であるため、無駄に時間を費やすことはできるだけ避けるべきだと私は思う。)
しかし海外に足を運んで色々な刺激を受けておくことは重要だと思うので、息抜き程度の旅行には行きたい。
東南アジアについて学ぶ
上記と相反するような話だが、東南アジアには興味を持っていくべきだと思う。
これから人口が増えていく地域、それはアジアとアフリカだ。
その中で日本人に関わりがあり、しかも近い将来に発展するのはアジア諸国だ。
日本は残念ながら人口が減っていく。
そして、人口が減ると国力が落ちていくことは、悲しいことに人類の歴史では必至である。
例外はない。
とすると、今後日本人としてビジネスをする上でも、生活をしていく上でも、関わっていくべき地域はアジア諸国だろう。
この地域の人たちが何を考えて生きているのか。
これからどうなっていくのか。
発展していく街はどこか。
将来日本の医療をアジアに広げる必要が出てくるだろうし、あなたがそういった場所で医療業務に携わることもあるかもしれない。
医療をベースにアジアで関連事業展開することもあるかもしれない。
日本は高齢化が進んでいると言われるが、今大学生なのであれば、その高齢者がいなくなった後のことを考えないといけない。
その頃、日本以外のアジア諸国で高齢化が始まっているに違いない。
今20代の方々は、何事も常にアジア全体から見るという習慣をつけていくべきだと思う。
プログラミングの勉強。VRで遊ぶ
76世代、86世代、96世代という表現を聞いたことがあるだろうか。
ご存じない方は、詳細はググってもらいたい。
私は76世代付近に当たるのであるが、ちょうどwindows95が大学生時代に広がり、インターネットが我々一般人にも広がるきっかけとなる時期だった。
非常に遅い回線スピードだったが、夜中23時を越えると定額になるため、この間に徹夜でネットサーフィンしたり、チャットしたりした。
タイムラグなく文字のやりとりができ、デジカメで撮った映像を送る(1枚数分かかる)ことができることに感動した。
そういった当時新しい技術を時間のある大学生時代に興味を持って触れて遊べたことが、後に社会人になってから役立つことになる世代が76世代だ。
この76世代から、いわゆるIT長者というべきIT企業のパイオニアが数多く生まれている。
そして時代は目まぐるしく変化し、その時ホットなIT技術はどんどん変わってきている。
そういう意味での今のホットなIT技術は、
プログラミングが以前より簡単になったことと、
VR、3Dプリンターなどの3D技術なのだろう私はと思う。
まず、プログラミングは世界の共通言語である上、エンジニアが足りないことはよく知られている。
どの世界で仕事をするにしても、ITプラットフォームから離れた場所はもはや存在しない。
医師であり、プログラムを理解できる、という2足のわらじは、相当役に立つと思う。
もちろんプロレベルになれなくてもよいと思う。エンジニアを雇って指示を出せるレベルになるだけでも相当意味があると思う。
そしてVRは、今後5G時代になると急激に進むと思われるし、その感覚に慣れ親しんでみる、というだけでも、意味があることだと思う。
株式投資をする
もちろん、少額で、失敗しても問題ない程度のお金でネット証券会社の口座を作り、株式投資をする。
そして、会社の決算報告書を読んで理解できるところまで学べるとよいだろう。
世間の動向を経済的視点から見る癖をつけていく。
なぜあの会社は業績がいいのか。
感覚でわかるようになると、後に必ず生きてくる。
これは株式投資するだけでなく、病院や医院経営、何らかのベンチャーを立ち上げる時にも必須の知識である。
こういった知識を株式投資を通して学ぶとよい。
特に医師はこういう経済的な知識を持つべきでないような、「医は仁術」という価値観が今だにある。
もちろん営利のみに走るのは問題だが、やりたい医療をする際に、経済的、経営的観念なしにはなり得ない。
医療経済学、医療経営学も可能なら大学時代から学ぶのも良いと思う。
よく遊ぶ
最後に、友人との関係は積極的に持つべきだ。
上記に挙げたようなこと集中して学ぶ為に友人を作らないようにする、というのはもったいない。
どんどん人と絡んでいき、体を壊したり無茶をしない程度に何でも頭を突っ込んで経験するべきだと思う。
さらに、大学時代ほど腹を割った付き合いのできる友人はない。
社会人になってからの友人は、どうしてもどこか大人の付き合いになってしまうものだ。
また、同級生は将来の医師としての同僚でもある。
アラフォーの今、私の友人は皆それぞれの診療科、病院で責任ある立場になっており、仕事を進める上で本当に頼りになる。
また卑近な話だが、以前、私自身の親がある悪性腫瘍で手術が必要、という状況になった時に友人を頼り、その友人に執刀してもらったことがある。
主治医である友人が直接親に電話で経過伺いをしてくれていた。
当然親はこの上なく感謝していた。
大学の同級生とは一生の付き合いになる。
まさに持つべきものは友、である。
まとめ
繰り返す。
1 経営者としての考え方
2 医学の知識
3 世界がどう変わっていくのか
4 ITの知識
5 お金はどのように動くのか
6 友人は宝
この6つを得るにはどうすればいいのか、それを意識しながら大学生活を謳歌していただきたいと思う。
気が向いたら次は、30代にしておくといいこと、を書いてみたいと思う。
記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。
現在オンラインサロンは会員数1100名超(2022年2月現在。)
Twitterフォロワー数13,700人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。