失敗確率を減らすクリニック開業戦略

失敗確率を減らすクリニック開業戦略

医師のMMと申します。開業医/準備医師オンラインサロン「ドクターズチャート」の運営をしています。

今回は先日ご質問いただいた「年齢的にベテランになってからの開業はどうか?」というご質問に私なりに答えてみたいと思います。

以前のコラムの結論として「クリニック開業は若ければ若い方がいい。ただ迷っているなら待った方がいい」ということをお伝えしました。

開業すると決めているのなら若いに越したことはないだろう、ということです。

しかし勤務先で要職についていたり、手術が楽しくて長年働いていたが50歳を過ぎて体力の限界を感じて開業を視野に入れる、ということもあると思います。

こういった状況では開業をどう考えていくべきか私なりに答えてみます。

50代以降での開業はすべきなのか?すべきでないのか?

具体的には、50代以降で開業を考えたとしたらどうなのか?そもそもすべきか?すべきでないのか?するならどうするのか?ということを考えてみたいと思います。

まずすべきかすべきでないのか?についてです。

まず開業するとするとその目的を若いとき以上にはっきりさせないといけないと思います。

というのは、若い時の開業より失敗が許され難い状況だと思うからです。

しかもその年齢になっていると、病院でもある程度の立場になっていたりそれなりに高給を取っていたりすることもあるでしょうから、そのままそのキャリアに乗っていく以上のメリットが開業にあるのか?クリニック開業の目的が何なのか?が大事ですね。

自分のしたい医療のためなのか?子供の学費が払えなくなってきているからなのか?それともただ勤務病院の環境が合わなくなってきているだけなのか?

そしてその開業したいという欲求は、例えば別の収入源を作ることであるとか、勤務病院を変えることでも満たされるものではないのか?ということも十分考えるべきだと思います。

その上で、やはりクリニックを開業することで自分の生きたい生き方ができるということなら、そこでクリニック開業を決意するという形が望ましいのだろうと思います。

そしてクリニックを開業することを決定したとしてどうするか?

これに関しては、かなり戦略的にやるべきだと思っています。

やはり先ほどもお伝えしたとおりできるだけ「失敗確率を減らす戦略」を持って開業すべきでしょう。

失敗確率を減らす戦略のポイントは4つあると思います。

1つめは軽装開業をすること。

2つめはクリニック開業後の立ち上がりを意識すること。

3つめは患者数が少なくても成り立つ方法を考えること。

4つめは専門性の高さをアピールすること。

それぞれ説明していきます。

失敗確率を減らすクリニック開業戦略①「軽装開業をする

1つめは「軽装開業をする」ということです。

クリニック開業時の借入についてなんですが、年齢が高くなればなるほど融資を受けにくくなりますしもし失敗した時のリスクも大きくなりますから、できるだけ開業費を抑えるべきだと思います。

すでに十分な貯蓄があることもあるでしょうから、開業費を下げることで融資を減らすことを考えるべきでしょう。

以前、別の記事で融資は受けられるだけ受ける方がいいとお伝えしたことがあったと思います。

基本はそうだと思っているのですが、こと高齢開業では少し考え方を変えたほうがいい場合もあると思います。

失敗確率を減らすクリニック開業戦略②「開業後の立ち上がりを意識する

2つめの「立ち上がりを意識する」についてですが、いわゆる今働いている病院から遠くでクリニックを開業する落下傘開業より、今働いている病院の近くでファンとなってくれている患者さんを連れていくという戦略もこの場合は必要だと思います。

ここはベテラン医師のメリットでもあると思いますが、若手医師よりかかりつけの患者さんは多いでしょうから、正直それを生かさない手はないと思います。

落下傘開業でゼロから患者を集めるというのは相当気力と体力がいりますから、そういう意味でも避けたほうがいい気がします。

失敗確率を減らすクリニック開業戦略③「患者数が少なくても成り立つ方法を考える

3つめは患者数が少なくても成り立つ方法を考えるについてです。

診療単価が低く、数多くの患者さんを多くみなければならないスタイルはやはり体力的な面で長続きしないと思います。

できるだけ単価を高く、一人一人の患者をじっくり見るスタイルを構築すべきだと思います。

その為には自費医療も当初から模索していく、ということは大事な気がしています。

失敗確率を減らすクリニック開業戦略④「専門性の高さをアピールする」

4つめの専門性の高さをアピールするについてですが、ここはベテラン医師の有利な点ですね。

先ほどの3つめのポイントに繋がるのですが、例えば専門的な分野のセカンドオピニオン外来を自費医療で行う、なども非常にいいと思います。

そしてニッチな領域でもいいので、全国から患者が集まるような仕組みを作るということを考えていくのがいいと思います。

今なら初めからオンラインでの自費診療などを手がけてもいいかもしれません。

とにかく、狭くてもその領域で日本の第一人者というポジションを確立していくという方向性がいいと思います。

そしてさらにその分野で勉強したい後輩医師に来てもらって、実際の診療を後輩に任せていく、というのもいいかもしれません。

まとめ

以上、繰り返しになりますが失敗確率を減らす戦略のポイントは、

1つめは軽装開業をすること。

2つめはクリニック開業後の立ち上がりを意識すること。

3つめは患者数が少なくても成り立つ方法を考えること。

4つめは専門性の高さをアピールすること。

ということです。

ベテラン医師にはベテランの良さがありますから、それを前面に出して活かすという戦略が重要だと思います。

そして考えうるリスクを出来るだけ減らして安全にクリニックを開業するという考え方が重要だと思います。

いかがだったでしょうか。

今回は「年齢的にベテランになってからの開業はどうか?」について私の考えを書いてみました。

この記事が先生のお役に立つことができれば幸いです。

※この記事はVoicyでの音声配信の内容をもとに、一部再編集してアップしています。

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記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。
現在オンラインサロンは会員数2600名超(2023年10月現在。)
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