医院開業すべきか6 ~これから予想される変化~

医院開業すべきか6 ~これから予想される変化~

前回は、まだ今のところ開業医は比較的安全な業種であることを述べた。

しかしこの状況が今後も同じように続くとは全く思えない。

逆風が吹くことはあっても順風が吹くことはあり得ない。

そしてその大きな変化があと5年、遅くても7年程度で来る、と私は思っている。

さて今回は、その予想を述べていきたいと思う。(もちろん、私の全くの独断である。ちなみに私は、個人的には楽観的で、希望を持って物事に取り組みたい性質の人間であり、不安を煽って評価を得たい人間ではない。しかしその私でも、客観的に見て今の医療体制がずっと保たれるとは思えない。その中でどのように生き残っていくべきかも続いて考えていきたい)


まず、twitterでも出したがこのグラフを見て欲しい。

2015年の、経済産業省の試算データである。

2025年に、外来需要が激減することがわかる。これはいわゆる団塊の世代の高齢化がさらに進み外来から入院治療が必要になるという意味だ。

(外来需要の減少に比べ入院需要の減少率が低いように見えるが、これは経産省の、入院需要による医療費は減らないという恣意的なものがあるように思う。実際は人口は減るのであるから、ここももう少し徐々に減るはずだろう)。

私の感覚では、今の高齢者はまだまだ健康なので、この激減のタイミングがやや後ろにずれる可能性もあると感じている。

ただいずれにせよ外来需要激減の時期が来ることは間違いない。


その時、開業医の状況はどうなるか。

まず、ツブクリ、フツクリは閉院していくだろう。特に借金返済が終わった高齢開業医は引退する。

しかし借り入れの残る開業医は引退できない。では彼らはどうするか。

在宅診療に移行するしかない

24時間オンコールがしんどくて勤務医を辞めた医師たちも、外来だけで収益があがらなければ借金返済ができず、閉院して勤務医に戻って返済か、在宅医としてまたオンコールに戻るかしかないだろう。

すると今度は在宅患者の取り合いが始まるだろう。しかししばらくはここの需要は増えていくはずで、一旦借金返済、生活費は賄えるだろうとは思う。

現在は国は患者を病院から在宅に移したいので、在宅医療の保険点数は比較的高く設定されている(以前より低くなったという話もあるが、それでもまだ外来の点数よりは割高に設定されている。)

しかしそこに医師が集中することになれば、やはり患者の奪い合いになるため、当然一医院当たりの利益は減る。

また、そのくらいの時期に医療費の激増の時期がやってくる。現在の診療報酬制度を維持するのは現実的には不可能だろう。

そうすると、点数を大幅に下げるか、多くの医療を自費診療に移行するしかない。

ついに医院を取り巻く環境も市場原理にさらされることになる。そこで大規模な医院の淘汰が始まるだろう。

具体的には、医院のM&Aが広く始まることになる。

現在調剤薬局は大手資本によるM&Aが花盛りである。中小零細薬局は軒並み買収されている。

こういった状況が医院にも起きてくるだろう。

そこから数年、混沌の時期が来ると思う。地域によっては医師不足がさらに叫ばれる一方、逆に働き口がない医師が出だす可能性もある。

医療をまともに受けられない患者も出てくるだろう。

しかし、徐々に団塊の世代が死亡していく。そうすると今度はさらなる人口減少である。

その頃、新設医学部を卒業した医師たちも1人で診療できるようになってくる。そうすると今度は人口対比で医師数が増えてくる。

さらに地方から急激に人口が減るわけで、地方から医療需要は減り、増えた医師たちはさらに都会に集まってくる。

この状況になるのに今から15年かからないくらいではないか。

さらにここに、IT技術の応用が医療にも広がる。具体的には、まずはオンライン診療、オンライン手術だろう。

これによってさらに地方の医師は都会の医師に患者を奪われる(今は医師会の猛烈な反対があり、オンライン診療が一旦停滞しているが、この時代の流れを止めることはもはやできなくなる)。

現在の歯科や弁護士の状況か、もっとシビアな状況になっている可能性がある。


私の思う、向こう15年くらいの日本の開業医を取り巻く状況の変化を述べてみた。

勤務医か開業医か?医師のキャリアについてカテゴリの最新記事