集患・増患について②〜競合クリニックができた時の考え方〜

集患・増患について②〜競合クリニックができた時の考え方〜

前回は、患者数を増やす以前に、診察時の心構えのようなことを書いた。

その前提がある上で、ここからは患者数に関しての考え方に、当院に競合医院が出来た時を例として触れていきたい。

競合クリニックができても患者数は減らない?

開業当初、先輩開業医の近くに競合医院ができたという話を時々聞いた。

そしてその際、患者数がどのようになったのかを聞くと、大体返事は、

「1から2割くらい取られたけどそこからは減ってないなあ」とか、

「意外とあんまり変わらなかったなあ」などというものだった。

不思議だった。競合医院が出来たら単純にその周辺の患者を2分し、患者数は半分になっていくのではないかと思っていたからだ。

もちろん競合医院が人気がなければ関係ないかもしれないが、多くの場合競合医院もそれなりの患者数になっていっているようで、やはり不思議だった。

遂に当院にも競合クリニックが・・・

そして当院にも、開院後3年経って、直線距離200mくらいの所に競合医院が出来た。

どうなることかと戦々恐々としていたが、意外と患者数は減らないどころか増えていた。

下は当院の売上の推移である。

競合医院が出来ても売上が減っていないことがわかる。

一体どうしてこうなったのかと考えていた。

私が考える競合出現でも患者数が減らない理由

その時、ある数式と何かの情報で出合った。それを紹介したいと思う。

例えば、あるクリニックのファン患者数(その診療科の病気になれば受診する患者数)が 10000人、

その科目の受療率3%、

その月の新患数50人、翌月100人、その翌月100人、新患の8割がその医院のファンになる と仮定する。

ある月の来院患者数(レセプト枚数)は

10000 × 3% + 50 = 350人

しかし競合医院が出来、その内1000人が競合医院に離脱すると

(10000 – 離脱人数 + 新しく増えたファン) × 3% + 100 = 次の月の患者数

ということになり、

(10000 – 1000 + 40) × 3% + 100 = 371 人

さらに翌月、1000人が離脱すると

(9040-1000 + 80) × 3% + 100 = 344人

ということになり、毎月1000人ずつ大量に離脱したと仮定しても、レセプト枚数には大きな変わりがないのである。

実際はこのように単純にはいかないだろうが、参考にはなる式だと思う。

当院も、競合医院が出来た時、明らかにそちらに患者が流れていたが(スタッフの情報、お薬手帳でしばらく他院に通院していたことがわかる)、目に見えて患者数が減っていなかった。

それは新患数がそれほど減らずに済んでいたからだ。

(実際競合医院も患者数を順調に伸ばしており、現在十分平均以上の患者数のクリニックとなっているようだ)

集患・増患について②〜競合クリニックができた時の考え方〜 まとめ

ここから考えられること。

競合医院ができたらある程度そちらに流れるのは仕方がないが、新患数を保つことで補うことができる。

一旦そちらに流れても、また戻ってくる患者もある。

もちろん離脱を減らす努力も大事である。

競合医院が出来たとしても、しっかりとした対策をすることで影響を最小限にすることができると私は思う。

では、次からは具体的にどのように患者数を増やしていくのか、考えていきたいと思う。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。
現在オンラインサロンは会員数1100名超(2022年2月現在。)
Twitterフォロワー数13,700人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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