集患・増患のために③〜新患数の意味〜

集患・増患のために③〜新患数の意味〜

新患数と再診数の表すもの

来院する患者は新患(診療報酬上の初診ではなく、全く初めての来院)と、再診患者の2種類しかいない。

そして、

新患数はその医院の未来を表し、

再診数はその医院の過去を表している

と私は考えている。

レセプト枚数が変わっていなくても、新患数が減っていっている医院は将来衰退していくことは間違いない。

どれほど評価を得ている医院でも、患者の離脱をなくすことはできないからだ。

引っ越し、他領域の疾病、死亡、競合医院の開業、保険点数など社会的理由など、離脱の要因はたくさんある。

そう考えると、常に新患数が保たれていないと必ず、徐々に患者数は減っていく

そしてそのしくみについては前回のブログを参考にしてもらいたい。

当クリニックの新患数の推移

ところで、当院の開院以来の新患数は以下の通り。

開業時私は、新患数は開業後年数を経るにつれ、減っていくものだと思っていた。

診療圏の住民がある程度来尽くしたら、その後は新患数は減っていくしかないように思っていた。

当院はいわゆる郊外で、人口はあるが下町のエリアだ。人口減少地域であり、あまりゆかりのない人がわざわざ引っ越してこない場所である。

例えば新宿とか梅田とか、大都会であれば人口の流動性が高いため、新患数はかなり多くの割合を占めると思われる。

実際、新宿で開業している内科医師は、常に8割が新患だと言っていた。


当院はそういう場所ではない。

しかし当院のようなエリアでも、新患数は減らずにむしろ増えていた。

新患数は開業後何年目でも、増やすことは可能なのである。具体的な方法についてはまた次以降のブログで述べることとする。

新患数と売上の関係

今回はここで新患数と売上の推移の関係を見てみる。

前回のブログでも出したが、当院の売上の推移は下の通りである。

新患数が増えているにも関わらず、売上はプラトーに近づいている。

どうしてなのか。

これには色々な理由の可能性が考えられる。

○待ち時間の増大

○競合医院の台頭

○当院の評価の低下

○地域人口の減少

○新患の住所の広域化

他にもあるかもしれない。


この中で、最も大きい理由は、

待ち時間、すなわち私が一人で診れる限界が近づいてきていることによると考えている。(他の要因についての考察は今回は割愛する)

すなわち、待ち時間が長くなってくると、待ち時間の少ない医院に患者は流れていく(競合医院がなければ別だと思われるが)。

私が診察できるスピードの限界、患者が待っても良いと思う時間の限界が合う部分が、ちょうどプラトーになる患者数だと考えられる。

もちろんこの考え方だと、患者数が減ってくると待ち時間も減ってくるはずで、そうするといずれまた患者数が増えてくると思われる。

しかしそこにはタイムラグがあり、どのくらいの期間でまた戻ってくるかは様々なケースがあるだろう。

その間は患者数は減っていくわけで、経営上はあまりよろしくないので、やはり減らさない方法を考えていくべきだと思う。


当院のケースでも、新患数が確保されていなかったら、徐々に患者数は減ってきていたことは間違いない。

今後また再び上昇気流に乗せる方法は、また別のテーマになるので改めて考察していきたいが、いずれにせよ新患数のキープがなければ衰退するということはご理解いただけたかと思う。

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)

耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。
現在オンラインサロンは会員数1100名超(2022年2月現在。)
Twitterフォロワー数13,700人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ

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