
今回は以下の6つの要素の、③、④に触れていきたい。
① 医師の医療技術、コミュニケーション技術
② スタッフの、患者を受け入れる態度
③ 受診のしやすさ
④ 落ち着ける内装設計
⑤ 期待を超える満足、特別感
⑥ トータルとして感じられる信頼感
③ 受診のしやすさ
これは我々医師が思う以上に、重要な要素だと感じている。
具体的には、
○車が止めやすい
○自転車が置きやすい
○ネットで予約が取れる
○電話で予約が取れる
○待ち時間が短い
などのことだ。
医師にとっては医療の本質でなく、こんなことがそれほど大事かと思う人もあると思うが、想像以上に重要だ。
地方であれば、車で来院できない近くの医院より、駐車場が止めやすい遠くの医院が選ばれたりする。
またもちろん、上層階ならエレベーターがないのは論外であるし、そのエレベーターが遅いのもよくない。また、バリアフリーではないのも今の時代受け入れられない。
駐車場があっても、停めにくい形などであったら敬遠される。
自分が、例えば飲食店や、美容院、クリニックに行く時に、何を根拠に決めているかを今一度思い出してみてほしい。
また、行かなくなった飲食店などは、何が原因だったのか、それも考えてみるとよい。
意外と小さな理由で行動が決まっていることに気がつくと思う。
その中で、医院にとって大きな要素となりうるのは、「待ち時間」だろう。
いくらいい医師でも、診療の要領が悪く、待ち時間が長いと、敬遠されていく。
疾患にもよるだろうが、待ち時間の長い100点の医師と、待ち時間はほとんどない80点の医師なら、80点の医師が選ばれることが多いだろう。
とにかく、繰り返すが、こういった要素は我々が思っている以上に大きな影響を来すことを認識しておかなければいけない。
④ 落ち着ける内装設計
これに関しては、挙げた6つの要素の中では一番小さい要素だと私は思う。
内装などに個人的なこだわりを持つことを否定しないが、増患にはあまり寄与しないと思っている。
例えば、小売店のドン・キホーテがよく流行っていることからも、それは理解できると思う(業態や望む商品が違うという指摘はあると思う。しかし同業態他社より非常に雑然としているにも関わらず隆盛を誇っている。)
高級家具をそろえず、できるだけ安価に、しかしチープに見えないような形や色の家具やクロス、床板を揃えるのがよいと思う。
探せば値段をかけずにある程度高級に見えるものもある。ここに高いお金をかけるべきではないと考えている。
シンプルで、落ち着く色合いであれば問題ないと思う。
では何が大事なのか。
これは清潔感と動線に尽きると思う。
患者から見える院内の景色と、スタッフから見える景色は視線の向きが逆なため、全く違う。
患者と同じ動きをしてみると、普段は見えない汚れや綻びが見えることがある。
当院は午前診、午後診の前後4回、清掃をしている。
多くの場合、開業7から10年でクロスや床のの張り替えが必要だと言われている。
しかしマメな清掃のお陰で当院はその必要がまだない印象だ。
また、トイレが綺麗かどうかも重要な要素だ。ここも手を抜かず常に清潔を保つことを心がけるべきだ。(えらそうに言っているが、当院も自戒をこめて精進していかないといけない)
もう一つ、動線が悪いと患者同士の距離が近くなったり、ゆったり待てなくなる。待合室の物理的な広さの問題もあるだろうが、できるだけ患者同士のパーソナルスペースが保てるように設計し、無駄のない動線を目指すのがよいだろう。
これに関しては、開業前にいくつかの医院の見学をして、先輩開業医に反省点をたくさん聞くのが参考になると思う。
設計には時間をかけ、何度も設計士と打ち合わせをし、合理的な動線を考えるべきだ。
諦めずに時間をかけるといいアイデアが浮かぶことがある。
具体的な内装設計のポイントなどは、これも書くことが多く、また項を改めたい(こればっかりで申し訳ない。)

記事の執筆者 MM (医学博士、耳鼻咽喉科専門医、医療法人理事長)
耳鼻咽喉科クリニックの理事長として日々の診療、理事長業務を行うかたわら、開業医・開業準備医師限定のオンラインサロン「ドクターズチャート」をよいこはこいよと2019年に設立。
現在オンラインサロンは会員数1100名超(2022年2月現在。)
Twitterフォロワー数13,700人、音声配信メディアVoicyパーソナリティ。