専門医がいるか議論の抜けている重要な視点

専門医がいるか議論の抜けている重要な視点

専門医がいるかどうかについて。

今Twitter界隈でこのテーマが議論されていることで私が感じたこと。

議論の中に、大事な視点に言及されていないことが気になった。

まずその前に、前提として、私自身は専門医をすでに持っており、やはり持っておいた方がよいと考えている立場である。

しかし、これは、いわゆるポジショントークである可能性がある。

既に専門医を持っている、取るつもりの医師は取得に賛成、
専門医を持っておらず、持たない方がよい、もしくは取るのを諦めた医師は反対、という傾向がある。

しかしこれでは中立な議論になりにくい。
そこで、どこに立ち返るか、が大事だと思う。

またさらに、将来的に専門医がないと診療できない、もしくは診療報酬が下がる、などという場合の議論は今回は除外したい。
保険診療に携わる以上、こうなれば取得する以外に選択肢がないからだ。

もう一つ、既に開業してしばらく経ち、十分流行っている先生の、専門医はいらないから更新しなかった、という意見も今回は考慮にいれないでおく。この域になれば、その先生であることが既にブランドであり、専門医のあるなしは超越していると考えられるからだ。


では、やっと本題。

大事な視点というのは、
患者がどう感じるか」である。

医師にとって最も考えるべきといえる相手は患者であり、その患者がどう感じるか、だ。

だから専門医は持つべきだ、ということを言いたいのではない。

どういうことか。

例えば、当院は耳鼻科で、時々アルバイトで医師に外来の手伝いに来てもらうことがある。
その際に、患者に医師の希望を聞くことがあるが、専門医を持っていることを重視されることはあまりない。それよりは、医師歴がどうか、優しいかなどである。
これは耳鼻科開業医に受診する際、それほど専門的なことを患者が期待していないからだろう。

しかし、中には喉頭癌が心配で、是非専門医の院長に、という希望がある人もいる。
こういう人に対しては、やはり専門医を持つ医師が対応すべきだと思う。

すなわち、患者が求める診療レベル、疾患によって、専門医がいる、いらないが変わるということだ。

そして、医院、病院の院長は、その施設に患者に来てもらわなければ経営が成り立たないわけで、そういう患者心理を非常によく感じている。
なので、就職に有利かどうか、という議論もあったが、専門医がなくても患者からの評価が変わらない医療であればその専門医はいらないだろうし、変わると思われるのなら、それはいるのである。

例えば耳鼻科専門医はいるのか、その上位専門医である頭頸部外科専門医はどうか。
門外ではあるが、消化器専門医、内視鏡専門医はどうか。
心臓の手術をしてもらうのに、専門医がない医師でもいいのか、よくないのか。
そしてそれは働く病院の規模にもよるだろう。

もちろん患者にこういう知識がない、ということも重々承知である。

しかし、たとえば、私たちが不動産を買う時に、宅建を持っている人から紹介されたいか、されたくないのか。
これは客側にその知識のあるなしで変わるだろうし、買う物件によっても変わるだろう(これがないとダメな業務は除く)。
そしてその不動産屋の店長が採用時に、宅建を持っているか持っていないかを見るかは、その時々で必要な人材で変わるだろう。


結論として、専門医がいるかどうかは、専門医の種類、勤務する病院さらに従事する医療による。そしてそれは患者側から見てどのように捉えられていくのか、ということだと思う。


そして、ここからは私のただの想像なのだが、今後どうなっていくのかを少し考えてみたい。

まず、必要とされる専門医とされない専門医がふるいにかけられるだろう。
そして、治療によっては専門医がないと評価もされない、という分野も出てくるだろう。
その一方、commom diseaseに関しては専門医が必要とされないだろう。しかし経営側としては、この両者を収入で差をつけざるを得なくなる、ということになるかも知れない。
(ここは私のポジショントークかも知れない。。)

とにかく、患者がどう感じるのか、自分がしたい医療は何なのか、に立ち返って専門医の取得を考えるのがいいのでは、と思っている。

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